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» 2007年09月18日 06時00分 UPDATE

ITトレンドの“眼”:スマートフォンは日本企業に根付くのか? ――HTC Nipponに聞く(前編) (1/2)

国内の携帯電話市場は海外に比べて閉鎖的だといわれるが、近年注目されるスマートフォンはその限りではないようだ。そのカギはスマートフォンをどのような存在としてとらえるかにある。

[三浦優子,ITmedia]

 コンピュータの世界では、「日本発」の製品、技術よりも米国発のものが圧倒的に幅を利かせている。しかし、通信業界、それも携帯電話の世界では、キャリアが主導していることもあって、日本の製品や技術が圧倒的に優位な状況にある。ワールドワイドでは携帯端末のトップベンダーであるNokiaでさえ、日本では他の国ほどの成果を収めていない。

 ところが、その状況に変化の兆しが訪れている。スマートフォンについては海外のベンダー製端末が日本で発売され、国産ベンダー以上に活発な活動を開始したのだ。その中でも台湾・台北に本社を置くHigh Tech Computer(HTC)は、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルと複数キャリア向け製品を提供し、さらにSIMロックフリー端末を発表。日本ベンダー以上にその動向は刺激的だ。

 果たして2006年7月の日本市場参入会見以降、同社のビジネスはどのように進展しているのか。そして日本ではまだ黎明期にあるといえる法人のスマートフォン活用はどこまで進んだのだろうか。HTC Nipponに参入後の動向を聞いた。

「電話機」ではなく「情報端末」

 「日本市場は、スマートフォンが普及する環境が揃ってきたと思っています」――HTC Nipponの法人事業本部パートナーセールスマネジャーの豊田幸隆氏はこのように指摘する。

htspbiz.jpg 豊田幸隆氏

 「当社のようにWindows MobileをOSとしている端末に加え、NokiaやBlackBerry、さらに国内ベンダーの製品とメーカー、サプライヤー共に顔ぶれが揃ってきました。何故、このようにスマートフォンを取り巻く環境が変わったのか、そこにはいくつかの要因があると思っています。まず、企業がコンプライアンスの観点からパソコンの持ち出しを制限するようになった。そのかわりの情報端末として、スマートフォンに注目が集まったのです。さらにビジネスマン個人がもっとシンプルに利用できる情報端末を望むようになってきました。また、企業側もコミュニケーション活性化によって、仕事の中身を拡充させたいと望んでいます。こうした複合的な状況が揃ったことで、スマートフォンが日本で普及する土台が整いつつあるのではないでしょうか」(豊田氏)

 HTCは1997年の創業以来、モバイル端末の専業メーカーとして米国をはじめ世界各国で端末を提供してきた。その実績を照らし合わせると、昨年という日本市場への参入タイミングはむしろ遅すぎるといっていいくらいだ。おそらく、日本でスマートフォンへのニーズがあることを調査した上で参入を決定したのであろうが、その予想以上に日本市場は順調に立ち上がってきているようだ。

 携帯電話は国産優位といわれる点についても、「もちろん、個々の端末に対して、『この部分を直して欲しい』といったリクエストが皆無というわけではありません。だが、基本的には、『海外製端末だから導入は難しい』という意見は無いですね。コンシューマー向けの音声用に作られた携帯端末を、法人需要に転用するのであれば、そういう意見が多いのかもしれません。しかし、当社の製品は、社内の情報システムと同期させることができるスマートフォンとしてアピールしています。そういう使い方を望んでいたお客様には、海外製の端末であるか否かという点は問題になっていません」と豊田マネジャーは説明する。

 特にコンプライアンス問題で、ノートPCを持ち出し禁止にする代わりにスマートフォン導入を検討する企業にとっては、欲しいのは情報端末であって、携帯電話ではない。Windows MobileをOSとするHTCの端末は、ノートパソコンの代わりと考えれば、国産の端末か否かは導入を阻害する要因とはなっていないのだという。

 「情報システムとの連携をする端末か、携帯電話かによって、我々の売り込み先も異なってきます。携帯電話であれば、企業の総務部門向けのアピールが必要となるのでしょう。しかし、情報システムとの連携となれば、やはり情報システム部門へのアピールが必要となる。今回、われわれは情報システム部門を窓口のソリューションの説明を進めさせていただいています。そうなると、国産の端末か、否かはほとんど問題がないということがわかっていただけると思います」

 この豊田マネジャーの説明は説得力がある。外資の製品を利用するのが当たり前となっている情報システム部門向けにセールスするのであれば、時には音声通話で利用する端末であっても、外資系の製品に違和感はない。スマートフォンが通常の携帯電話と異なる市場性を持っている点も、ここに要因があるのではないか。

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