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» 2007年09月21日 07時00分 UPDATE

携帯電話のLinuxをめぐるトレンド (1/2)

iPhoneの登場は、業界に最大級の旋風を巻き起こした。この市場はまさしく、自らの手でルールを変えられればゲームに勝てる、というものだ。そしてオープンソースもこの携帯電話市場の表舞台に押し出されている。

[Murry-Shohat,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 この夏、業界に最大級の旋風を巻き起こし、いきなりフル機能の無線コンピュータとして登場した携帯電話があった。それがiPhoneであり、ゴールデンタイムに流れるそのテレビCMは電話としての用途をそっちのけにして、機体に満載されたデータリッチなインターネットメディア機能(電子メール、Webサーフィン、GPSナビゲーション、音楽、写真、ビデオ)を強調したものになっている。さらに、Appleのすぐ後を追ってMotorolaが米国でLinuxベースのRAZR2 V8を発売したことで、新たな携帯端末同士で世間の注目の奪い合いが始まり、その状況はいまなお続いている。果たしてLinuxは競争力のあるプラットフォームとなり、オープンソースをこの携帯電話市場の表舞台に押し出したのだろうか。

 その答えはどうやらイエスのようだ。市場調査会社ABI Researchは、8月下旬の「Linuxは今後5年で最も成長著しいスマートフォン用OSに」と題したプレス発表において、モバイル機器用OSとしてのLinuxの年平均成長率は「75%を超えるだろう」と予測している。この成長率は、2012年までにLinuxが「市場の全スマートデバイスのほぼ31%を占めることになり……(中略)……同じ期間の累積出荷台数が3億3100万台を超える」ことを意味する。同社リサーチディレクターのスチュアート・カーロー氏は次のように語る。「IntelやAccessのような組織の重大なプロジェクトは活動のスピードと勢いを増しつつあり、その一方で通信キャリアのコミュニティーは以前からLinuxを長期的計画においてサポートを予定している少数のオペレーティングシステムの1つとしてとらえている」

 また、Mobile向けLinux推進団体のLiMo(Linux Mobile)はプレスリリースの中でこう記している。「世界中にいる業界の専門家たちの予測によると、現在20億ものモバイル契約者が年間にして、1兆分の時間に相当するサービスを利用し、10億台を超える携帯電話機を購入している。また、業界アナリストらは、モバイル分野のソフトウェアおよびサービスの市場規模は2009年までに60億ドルを超え、オープンプラットフォームはこの市場で一番の急成長分野になる、と見込んでいる。

 『世界の携帯電話――2007〜2011年の予測と分析』(Worldwide Mobile Phone 2007-2011 Forecast and Analysis)の中で、IDCは昨年の携帯電話機の出荷台数が10億台を超えたと記している。「携帯電話出荷台数の伸びは新興市場の新規ユーザーによって支えられ、この市場のユーザー数はさらにもう10億増えるだろう」と語るのはIDCのモバイル機器テクノロジーおよびトレンドサービスの上級アナリストクリス・ハゼルトン氏。「ただし、この市場は成熟しても、モバイルインターネット、ナビゲーション、リッチメッセージング、ビデオといった機能が進化した機種へのアップグレードを行うユーザーによって成長するだろう」

 IDCの予測は、全世界における5年間の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を6.9%とし、2011年までの出荷台数を14億と見積もっている。この市場におけるLinuxのCAGRを75%とすると、現在の主要OSを凌ぐことになる。ABIのカーロー氏は次のように語る。「Linuxは携帯電話OEM業者のコミュニティーにおけるサポート拡大によって恩恵を受けている。その最たるものがMotorolaだが、Nokiaもまたモバイル向けブロードバンドアプリケーションをねらった新しいタイプの機器を投入している」

 こうした何十億ものモバイルカスタマーのほとんどは、自らの携帯電話でどんなオペレーティングシステムが実行されているかを気にしていない。本当に重要なのは機能性だ。彼らは音声サービス以外に、ビデオ、音楽、写真、GPS、カメラ、そして強力なキラーアプリケーションとして簡単に操作可能な電子メールといった機能を求めている。将来的に、各社は重要な2つの領域でさらに機能性を高めたいと考えている。コラボレーションおよびスケジューリング機能などの企業向けアプリケーションと、無線携帯機器と会社のデータとの間に確立されるデータトンネルが悪意あるサイトへの入口となる可能性をなくす本当の意味でのセキュリティ機能である。

 Linuxと競合するSymbianのリサーチ担当執行副社長デビッド・ウッド氏は、同社のWebサイトで次のようにもっともな意見を述べている。「Linuxの主要ダウンロードサイトwww.kernel.orgから入手できるソフトウェアは、携帯電話の開発に必要なものの10%にも満たない。電話機の特徴を決めるのは、残り90%プラスアルファのソフトウェアである」。その90%は、SymbianおよびMicrosoftのようなプロプライエタリ企業、あるいはMontaVistaやAccessのようなオープンソースのスタック開発企業の掌中にある。Nokia、Motorola、Samsung、LGといった大手の携帯端末ベンダーは、プロプライエタリな開発会社やスタックベンダーとの提携関係を持続している。しかし、LIPSやLiMoのような非営利のLinux推進団体(オープンソースに理解のある企業パートナーから資金提供を受けている)は、こうした90%の部分を構築することの難しさは協調作業が進むソフトウェアプラットフォームによってかなり解消されるだろう、と示唆している。LiMoによるプラットフォームの開発スケジュールは、開発終了を2009年として暫定的にフェーズ化されている。一方、LIPSは年末までにバージョン1.0のリリースを確約しており、2008年までのロードマップを公開している。

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