拡大するWebコラボレーション市場(2/2 ページ)

» 2007年10月09日 18時12分 公開
[Clint Boulton, Peter Galli ,eWEEK]
eWEEK
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 一方、AT&Tは、インターネットベースのカンファレンス/コラボレーションソフトウェアのプロバイダーであるInterwiseを1億2100万ドルで買収しようとしている。同社はこの買収により、ビデオ/Webカンファレンスやコラボレーションの分野でSprint Nextel、Verizon、Cisco Systemsといったライバル企業に対抗する考えだ。

 AT&Tは10月1日にInterwiseの買収を発表した。InterwiseはVoIP(Voice over IP)/Web/ビデオカンファレンスサービスを手がける企業。同社では、オンプレミス(自社運用)方式とホスティング方式のほか、オンサイトとホスティングサービスを組み合わせたハイブリッド方式でもこれらのサービスを提供している。AT&Tでは、これらのサービスを、自社のネットワーキング、VoIP、カンファレンス、コラボレーションなどのサービスや、企業向けのMPLS(Multiprotocol Label Switching)ベースのIPネットワークなどとともに提供する予定だとしている。

 こういったサービスの市場機会はふんだんに存在する。企業ユーザーは、従業員同士の共同作業を支援するために、これらのサービスを電子メール、インスタントメッセージング、プレゼンスなどのコラボレーションツールと組み合わせて利用することが多いからだ。市場調査会社のFrost & Sullivanによると、オーディオ/Web/ビデオカンファレンスの2007年の市場規模は59億ドルで、2008年も市場拡大が続く見通しだという。

 AT&TはInterwiseのユーティリティを手に入れることで、電話会社やITプロバイダーが狙っている魅力的な企業市場への参入機会を獲得するのに有利な立場に立てる。Sprint NextelとVerizonも、それぞれの企業顧客にオーディオ/Web/ビデオカンファレンスサービスを提供している。

 AT&Tでビジネス開発を担当するスティーブ・ソボレビッチ副社長は、「Interwiseが当社の一部になるのを非常に喜んでいる。彼らは、オンプレミス型コラボレーションサービス、ネットワークベースのコラボレーションサービス、そしてハイブリッド型ソリューションを提供している数少ない企業の1社だからだ。これにより、ユーザーは両方の環境にまたがってコラボレーションを行うことができる」と話す。

 IDCのアナリスト、ロバート・マホワルド氏によると、この買収はAT&Tのエンタープライズビジネスを一段と強化するものだという。同社は企業向けに強力なホスティング型オーディオカンファレンスサービスを提供しているが、オンプレミスサービスは提供しておらず、Webカンファレンスはこれまでリセラー契約に頼ってきた。

 「広範なWebコラボレーションに向けてエンタープライズビジネスの規模拡大を目指すAT&Tは、この買収で開発プラットフォームを手に入れることになる」とマホワルド氏はeWEEKの取材で語った。「同社は顧客も獲得するが、これまで再販するだけだったMicrosoftやCiscoのプラットフォームではなく、自分たちで好きなようにできるプラットフォームも手に入れるのだ」。

 もちろん、Webコラボレーション分野に関心を示しているITプロバイダーは電話会社だけではない。MicrosoftとIBMでは、広範な統合コミュニケーション戦略の一環として、それぞれSharePointおよびLotusポートフォリオを通じてWebコラボレーションパッケージを提供している。Adobe SystemsやCitrix Systemsも、Webカンファレンス分野に進出している。

 カリフォルニア州サンノゼに本社を置くCiscoは3月、WebExに対する29億ドルの買収提案で競争に拍車をかけた。しかしこの分野での企業買収の多くは、製品ラインアップで欠落している部分を埋めることを目的としたものである。IBMが8月22日に行ったオンデマンド型WebカンファレンスソフトウェアメーカーのWebDialogsの買収もそうである。

 「こういった独立系企業が次々と買収されており、もう売り物はあまり残っていないのではないか」とマホワルド氏は話す。

 AT&Tの予想通りに第4四半期に買収手続きが完了すれば、InterwiseはAT&Tのグローバルビジネスサービス部門の1事業部として運営されることになる。年商350億ドルの同部門の統括しているのは、グループ社長のロナルド・E・スピアーズ氏である。

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