組み込み機器もサービス指向に、MSがWindows Embedded CE 6.0 R2をリリース

マイクロソフトは、組み込み向けOSの最新版「Windows Embedded CE 6.0 R2」を発表した。開発者支援プログラムも強化する。

» 2007年11月14日 20時48分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 マイクロソフトは11月14日、組み込み機器向けOSの最新版「Windows Embedded CE 6.0 R2(CE 6.0 R2)」を発表した。組み込み開発者支援プログラム「SPARK」も新たに開始する。

 CE 6.0 R2で拡充された機能は、WebサービスとVoIP、シンクライアント、ブラウザ&メディア、フォントエンジンの5点。ネットワークを介したサービスへの対応強化や最新のサーバOS環境への対応を特徴としている。

 新たに実装された「Web Services on Devices API」は、Webサービスに接続するためのプロトコルなどをサポートし、ネットワーク対応デバイスからインターネットを介してWebサービスを利用できるようになる。また、VoIPへの対応で電話会議やテレビ会議など多彩なIPコミュニケーションデバイスをサポートするほか、Internet ExplorerではWebページのレンダリング性能が向上し、Windows Media PlayerではOCX 7がサポートされた。

 CE 6.0 R2では、2008年2月に発売される予定のWindows Server 2008との親和性も考慮され、Windows Server 2008に搭載された機能を自動的に検知する。これにより、例えばシンクライアント環境ではサーバとクライアント間の接続性が向上するという。フォント機能では、追加可能なフォントエンジンをサポートし、サードパーティ製のフォントエンジンを柔軟にデバイスへ取り込めるようになった。

ケビン・ダラス米Microsoft Windows Embeddedビジネス ジェネラルマネジャー

 米Microsoft Windows Embeddedビジネス ジェネラルマネジャーのケビン・ダラス氏は、「組み込み機器市場では2010年時点で、ネットワーク対応のコンシューマー機器で2006年比50%増、同じくエンタープライズ機器(業務用端末など)では同23%増の高い成長率が見込まれる。ネットワークを介してさまざまなデバイスが相互に接続し、ネットワーク上のサービスを利用するようになる」と話した。

組み込み市場での方向性

 Windows Embedded事業では、Windows Live Serviceなど「Software + Service」戦略に基づくオンラインサービスとの連携も強化していく計画で、「パートナーとともにエンドユーザーに新たな体験を提供する取り組みを進めている。半年後には具体的なモデルをお見せできるだろう」(ダラス氏)という。また、過去2年間にWindows Embedded製品の研究開発へ約1億ドルを投資しており、2007年度は投資額を30%増やし、開発者コミュニティーと学術機関の教育支援で500万ドルを投じることにしている。

 SPARKプログラムでは、アマチュア開発者や教育関係者を対象に、Windows Embedded CE 6.0と開発・評価用ボード(協力メーカー製品)、Visual Studio 2005をパッケージ化し、通常購入に比べて10分の1程度の価格で提供するという。また、BSP(ボードサポートパッケージ)の認証を無料で行うとしている。

CE 6.0を搭載する東芝のデータプロジェクタ「TDP-EX20」。CE搭載により、Vista PCからネットワーク経由で投影が可能になった

 国内の事業展開について、マイクロソフトモバイル&エンベデッドデバイス本部長の梅田成二氏は、「組み込みソフトウェアの新製品は通常、リリースから最終製品に実装されるまで24カ月程度を要するが、CE 6.0は昨年11月の発表から1年で採用製品が発売された。パートナーとの協業環境も広がり、組み込み開発者を支援する体制をさらに強化したい」と話した。

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