米Novellのハイパーバイザー製品が年内に登場する見込みだ。SUSE Linux Enterprise Server 10に搭載されたXenハイパーバイザーがベースになるという。
Novellでは、スタンドアロン型のハイパーバイザー製品をひそかに開発中だ。同製品は、SUSE Linux Enterprise Server(SLES)10に組み込まれたXenハイパーバイザーをベースとするようだ。
Novellでオープンプラットフォームソリューションビジネスを担当するロジャー・レビー上級副社長兼ゼネラルマネジャーによると、同社は先ごろソルトレークシティで開催された「BrainShare」カンファレンスにおいて、開発中のハイパーバイザー製品のデモを行ったという。
「この製品は年内にリリースを予定しており、SLES 10に搭載されたXenハイパーバイザーをベースとする。このハイパーバイザーは軽量化され、起動シーケンスの可視性なども変更された」とレビー氏は語り、MicrosoftのHyper-Vのスタンドアロン版に近い製品であることを明らかにした。
Microsoftは昨年11月、スタンドアロン型のハイパーバイザーをベースとするサーバ仮想化製品「Hyper-V Server」をリリースする計画を明らかにした。これはWindows Server 2008に組み込まれたHyper-V技術を補完する製品であり、1台の物理サーバ上でワークロードの仮想化を可能とする。価格は28ドルになる見込み。
「仮想化を利用すれば、ハードウェアのライフサイクルとソフトウェアのライフサイクルを切り離すことができる。これはNovellの顧客とパートナーが望んでいることだ」――Novellで製品管理を担当するカート・ガーロフ副社長は先ごろ、eWEEKの取材でこう語った。
「XenハイパーバイザーをLinuxの機能縮小版とともに提供する予定だ。機能縮小版にはハードウェアドライバと管理用ツールが含まれる。この製品は個別にバンドルされ、独自のライフサイクルを備える。“仮想ディストリビューション”と呼ばれるアプリケーションプラットフォームも提供するつもりだ。これはアプリケーションをホストするのに利用する」とガーロフ氏は説明する。
Novellのジェフ・ジャフィーCTO(最高技術責任者)は、3月のBrainShareカンファレンスのキーノートスピーチでスタンドアロン型ハイパーバイザー製品について言及し、Novellの目標の1つは、「SLES 11」をアプライアンスとして利用できるようにすることだと語った。このアプライアンスは、専用イメージを素早く構築するための新しいツールセットでサポートされるという。
Novellでは個別ISV向けに最適化されたバージョンのSUSE Linux Enterpriseや、独立系ハードウェアベンダー各社が仮想化技術とOSをハードウェアに直接組み込むことを可能にする新しい組み込み用バージョンの提供も計画していることを同氏はカンファレンスで明らかにした。
ジャフィー氏が最近eWEEKの取材で語ったところによると、ハイパーバイザーに関するNovellの構想には、オープンなLinux上に構築される物理的ディストリビューションの「p-Distro」や、Xenなどの各種オープンソース技術などが含まれるという。
「ハイパーバイザーにLinuxという飾りを付けるべきではないという人もいる。われわれはその意見に必ずしも賛成ではない。われわれの見解は、こういったシステムを構築し、Linuxへの投資を有効活用できるのであれば、Linuxインフラという観点から、多数のデバイスドライバや、Linux上でアプリケーションを動作させるために行ったチューニングや検証作業を考えた場合、ユーザーはこのインフラを継承し、p-Distroや仮想化プラットフォーム上でアプリケーションを動作させたいと思うはずだ」とジャフィー氏は話す。
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