モノづくりからモノうごかしへ――仮想化とビジネス継続HP ITトレンド・フォーラム2008 レポート

日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が主催したITトレンド・フォーラムでは、仮想化とビジネス継続性が企業情報システムにもたらす価値について語られた。

» 2008年04月19日 05時34分 公開
[ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月18日、「時代の波に乗りおくれるな! 今こそ取り組むビジネス継続性と仮想化環境構築」をテーマに、ITトレンド・フォーラムを開催した。

 基調講演に立ったのは、テックバイザージェイピー代表取締役、栗原潔氏。「IT基盤におけるメガトレンド」と題し、ストレージの仮想化や、災害対策(ビジネス継続性)について持論を述べた。

テックバイザージェイピー 代表取締役 栗原潔氏。「モノうごかし」は栗原氏の友人であるITアーキテクトが考案した言葉だという

 栗原氏によると、企業の情報システムに求められる役割は、従来の「モノづくり」から「モノうごかし」へ変わりつつあるという。「限られた期間や予算の中でベストな情報システムを構築しTime to Marketに貢献するというよりも、シンプルな情報システムをベースに、変化するビジネス環境に対応できる俊敏性(Agility)が重要だ」(栗原氏)

 また新しい時代のサービスレベルにも変化が必要だという。「ITが足かせになってビジネスを拡張できない、という事態をなくすべき。特に昨今取り上げられることの多い狭義のグリーンIT、具体的には消費電力や発熱の低減は重要だ」と栗原氏。

 データセンターの電力消費や発熱は増大の一途をたどっており、サービスレベルとして管理する必要が生じつつあることに疑いはない。企業の情報システム部門は、環境問題への関心が社会的に高まっている現在のトレンドを上手に活用し、ストレージの仮想化や、シンプロビジョニングを進めるべきだと栗原氏は言う。「ハードウェアの利用率向上は、グリーンITの実現やビジネス継続性の改善に効果があり、結果としてサービスレベルの向上につながる」(栗原氏)

技術だけが重要なのではない

 当日は、事業継続性や仮想化に関する複数のトラックが行われた。

 「HP Adaptive Infrastructureで実現する次世代データセンタ」と題された仮想化トラックでは、日本HP 小桧山淳一氏が講演。自社事例を提示しつつ、データセンターの仮想化の必要性を説いた。

日本HP 小桧山淳一氏

 同社では、コンパックとの合併時、「Shadow IT(使われていないIT資産)」が多くの事業部に存在していたという。それは実に100サイト/50カ国以上にまたがっており、70%ものIT予算が、その維持運営のために使われるという状況となっていた。

 しかしITリソースを仮想化してプールし、かつHP Open Viewによる一元的なインフラ管理を行う取り組みを進め、最終的にデータセンターは、6サイトにまで統合された。

 これは「Adaptive Infrastructureのショーケース」(小桧山氏)であり、10億ドル以上ものコストが削減され、同社のビジネス俊敏性と事業継続性の向上に大きく寄与したという。

 小桧山氏は、「しかし必要なのは技術だけではない」と説く。ビジネスに求められるサービスレベルを定める「人」、ビジネスプロセスやITプロセスを簡素化し、その上でサービスとしてのITリソースを監視し課金する「プロセス」、そしてITリソースを動的にプール・配置し、使用率や可用性の最適化を図る「技術」が連携することが重要だと述べ、講演を締めくくった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ