ウィルコム、次世代PHSサービスの名称を「WILLCOM CORE」にワイヤレスを産業インフラにも展開

ウィルコムは次世代PHSのサービス名を「WILLCOM CORE」にすると発表した。

» 2008年05月26日 18時17分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ウィルコムは5月26日、記者向けの事業説明会を都内で開催し、2009年春にサービスを始める次世代PHSの名称を「WILLCOM CORE」にすると発表した。

 WILLCOM COREは、2.5GHz帯の周波数を利用した次世代の無線ブロードバンド通信サービスの1つ。ウィルコムは現行方式をベースに、データ通信サービスを2009年3〜4月ごろに始めるとしている。

 説明会では喜久川政樹社長が、サービス概要の最新状況を紹介。従来は数十Mbpsとしていたデータ通信速度を100Mbps超(30MHz帯域幅をフル利用し、MIMO技術使用時)に引き上げる(開始当初は数十Mbps)ほか、時速300キロ以上での移動中の接続性の維持、実効通信速度の安定性を目指すと説明した。データ通信速度の高速化では、さらに200〜300Mbpsに引き上げるための研究開発にも着手しているという。

WILLCOM COREサービスの基本概要

 当初は個人や法人などの一般向けデータ通信サービスが中心となるが、ウィルコムではWILLCOM COREを産業分野向けワイヤレスインフラとしても展開していく方針。喜久川氏は第1弾として、高精細映像を利用した情報サービスの実現に関する研究会を発足させる考えを明らかにした。

「WILLCOM CORE」サービスでの基地局や端末などの開発・製造に参画するパートナー企業

 この研究会には、カメラ機器メーカーやネットワークサービス企業、ASP事業者など約30社が賛同しているという。例えばカーナビゲーションシステムへの道路映像の配信する場合に、撮影映像をデータセンターに伝送する、映像を自動車へ配信するなどのシーンにWILLCOM CORE網を利用するイメージになる。

 「基地局とカメラを同時に設置することで設備工事費などを抑制できるメリットもある」(喜久川氏)

 無線ブロードバンド通信サービスは、WILLCOM COREと同じ2.5GHz帯を利用してKDDI系のUQコミュニケーションズがWiMAX方式によるサービスを始めるほか、NTTドコモが第3世代方式を拡張した「スーパー3G(または「Long Term Evolution」)」サービスを計画する。いずれも数十〜数百Mbpsの通信速度を特徴に、一般向けのデータ通信サービスや産業分野向けの通信インフラとして展開される見込み。

 サービスの優位性について喜久川氏は、「現行方式では低電磁波を特徴に医療機関で採用された実績がある。新方式でも現行の安定性や信頼性に加え、PHSの懸念点とされた高速通信が実現するのでほかの方式よりも有利だと考えている」と述べた。

 WILLCOM COREは当初、東京都心部のみで始められ、同年秋に三大都市圏および政令指定都市の一部に拡大させる計画。全国展開は2010年以降になる見通しだとしている。

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