自閉的なチーム組織を活性化するベンチマークという手法職場活性化術講座(1/2 ページ)

不時着したゼロ戦を徹底的に研究してグラマンをつくった米国。他国の製品を研究しつくして世界市場に躍り出たホンダやソニー。こうした勝つための戦略を小さな組織で今から始めてみてはどうか。

» 2008年07月08日 08時55分 公開
[徳岡晃一郎,ITmedia]

ゼロ戦を徹底的に調べた米国

 前回前々回はシャドーワークについて述べた。その本質は、自分を広げ、枠にとらわれない仕事をしてこそ価値が出る、というものだった。そして、そのためのいくつかの手法を紹介し、その1つにベンチマーキングについて触れた。今回はそのベンチマーキングを紹介しよう。

 ベンチマーキングとは、簡単に言えば、「他社の好事例から学ぶ」というものだ。外界(がいかい)志向、視野を広く、世間の風を感じるなど多様な表現で、われわれはうちに引きこもりがちな目線を引き上げようとしてきたが、精神論ではなく、具体的な経営手法である。

 ベストプラクティス(好事例)という言い方があるが、世間を広く見渡して、もっと優れたやり方を研究するわけだ。それゆえ、決して新しい話ではない。日本の各産業が戦後、伸びていくときには、欧米の先進事例を調査団まで派遣して、丹念に探っていた。そしてまねできることは徹底的にまねて、それを定着させる過程で改善していったものだ。そうして、自分の独りよがりに陥ったり、自己満足になるのを防ぐことができ、世界に挑戦していったわけだ。また、その際に、単に外見をまねるだけではなく、その本質を捉え、よりニーズにマッチするものを開発することで、既存の水準をさらに効率よく高める契機ともなり、切磋琢磨の基本でさえある。ホンダやソニーは他の水準を見ながらも、単なる猿マネではなく、独創や革新に結びつけることができた。

 こうした外に目を向けた真摯な経営姿勢が、80年代、90年代には米国で見直され、日本企業の手法が徹底的にベンチマークされていった。そのなかでベンチマーキングというコンセプトが経営用語として登場してきたのだった。しかしこれもよく考えてみれば、第二次大戦中に、米軍は不時着したゼロ戦を徹底的に調べて、ゼロ戦の弱点を研究し、グラマンの戦闘能力を高めているので、米国にとっても新しいものではないはずだ。

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