AndroidとSymbianを単一のOSに統合するのは得策か?モバイルOS市場の動き

あるアナリストは、オープンソースのモバイルOSであるSymbianとAndroidの統合は、GoogleとNokiaの両社にとって良いことだと主張する。このアナリストによると、NokiaおよびそのほかのSymbian採用企業(Motorola、docomo、Sony Ericssonなど)はモバイルOS市場で競争するのを望んでいないという。

» 2008年07月29日 16時00分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 アナリストのジャック・ゴールド氏によると、市場に出回っているスマートフォン用OSとして最大のシェアを誇るオープンソースのモバイルOSであるSymbian、そしてGoogleが鳴り物入りで宣伝しているオープンソースのモバイルOSのAndroid(現在開発中)は、3〜6カ月以内に統合され、1つのオープンソースモバイルOSになる見通しだという。

 J. Gold Associatesの社長兼主席アナリストを務めるゴールド氏は「開発者は多様なモバイルプラットフォームのニーズに対応するのに苦労しており、モバイルプラットフォーム市場はある程度統合される必要がある」と主張する。「Nokiaの携帯電話のほとんどで採用されているプラットフォームのSymbianそしてGoogleのAndroidは完璧な組み合わせだ」と同氏は調査メモに記している。

 「オープン性と平等な競争機会の必要性こそが、Googleが携帯端末用OSの市場への参入を決断した理由だ。それは、この目的が他社によって達成できるのであれば、彼らがこの市場から退出すると考えられる理由でもある」とゴールド氏は述べている。

 ゴールド氏は、NokiaおよびそのほかのSymbian採用企業(Motorola、docomo、Sony Ericssonなど)は結局、OS市場で競争するのを望んでいないと主張する。これらの企業にとっては、自社ブランドに対するユーザーの忠誠心を維持するためのサービスや、実質的な収益を生み出すサービスなどの魅力的なユーザーエクスペリエンスを提供することの方が重要だとしている。

 同氏によると、GoogleはAndroidに投資することによって、クロスプラットフォームアプリケーションを構築することで得られる利益を減らしているという。

 「広範なデバイスメーカーに採用されるオープンソースOSがあれば、Googleはサードパーティーメーカー製のデバイス向けにもゲーム、音楽、ビデオ、アプリケーションなどのサービスを販売できるため、新たなビジネス分野での競争力を高めることができる」とゴールド氏は記している。

 加えて、SymbianとAndroidの統合は、モバイルオープンソースプラットフォームの普及を促す要因となる、とゴールド氏は主張する。「両OSの統合は、単一のプラットフォームを提供し、(MicrosoftのWindows Mobileと同様に)複数のメーカーと契約することが可能になる」と同氏は記す。

 さらにゴールド氏によると、SymbianとAndroidの結合は、キャリアによる“制約”を取り除く効果もあるという。「こういった制約が存在するのは、現在、キャリアが顧客支配を維持するために、カスタマイズされたデバイス上で独自のユーザーエクスペリエンスを作成していることによるものだが、これは同時にアプリケーションの発展を阻害する要因にもなっている」と同氏は指摘する。

 Nokiaは6月24日、同社がSymbianの株式でまだ保有していなかった残りの5200万株を4億1000万ドルで買い取ると発表した。Nokiaによると、Sony Ericsson Mobile Communications、Ericsson、パナソニック、Siemensの各社は、それぞれ保有するSymbian株の買い取り提案を受け入れたという。Samsungは態度を保留しているが、Nokiaでは同社も提案を受け入れると予想している。これらの企業の保有分を合わせると、Nokiaの未保有株式の48%に相当する。

 Nokiaの動きは、ワイヤレスデバイス/ソフトウェア市場におけるGoogleとAppleに対するアグレッシブな攻撃であると一般にみられている。

 「AndroidとSymbianの組み合わせは、業界にとってもGoogleにとってもNokiaにとっても良いことだ。アプリケーションとサービスの可用性の向上にも拍車がかかるだろう。マイナス要素はほとんどない。みんなが得をするのだ」とゴールド氏は記している。

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