ブレードサーバでグリーン&仮想化

ブレードサーバに搭載されるプロセッサは百花繚乱“入ってる”のはインテルだけじゃない

ブレードサーバにおけるプロセッサのチョイスは奥深い。主力のXeonに、仮想化やHPC分野に活路を見出すOpteron。用途によりItaniumも選択肢に入るし、Ultra SPARCやPowerアーキテクチャも存在感を示すという面白い市場なのだ。

» 2008年08月29日 08時00分 公開
[大神企画,ITmedia]

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主力はXeonプロセッサ

 ブレードサーバを自社のシステムに導入する際、要件として必ず挙がってくるのが、プロセッサの種類だろう。新しいシステムをスクラッチから構築する場合には、それほど問題になるものでもないが、従来のシステムをサーバ統合するためのソリューションとして考えた場合には、プロセッサが重視される。

 ブレードサーバで最も多く採用されているのは、インテルのXeonである。現在、エンタープライズ市場向けにブレードサーバを提供している大手サーバベンダーのすべてが、Xeonを搭載したブレードを用意している。

 富士通の「TRIOLE BladeServer」では、Xeonを搭載した2ウェイの「PRIMERGY BX620 S4」が唯一のブレード製品である。Xeonプロセッサの種類は、クアッドコアのX5460、デュアルコアのX5260などが用意され、稼働周波数も選択可能だが、ほかのプロセッサを採用したブレードサーバは一切用意していない。これは、富士通がブレードサーバをIAサーバによるソリューションに対応する製品として位置付けているため。富士通は、Xeon以外のプロセッサを採用する予定はないとしている。

BS1000 Itanium 2のサポートが先行したBladeSymphony。写真はBS1000(画像クリックで拡大)

 NECの「SIGMABLADE」も、基本はXeonプロセッサになる。2ウェイの「Express5800/120Bb-6m6d6」、および4ウェイの「Express5800/140Ba-10」は、いずれもクアッドコアまたはデュアルコアのXeonを採用したものだ。ただし、SIGMABLADEにはExpress5800とは別のラインアップとなるブレードもある。主にUNIXサーバとして利用されるブレード「NX7700i/5010B-4」には、インテルのItanium2プロセッサが搭載されている。

 XeonとItanium 2の採用は、日立の「BladeSymphony」も同様である。ただし、日立が特徴的なのは、BladeSymphonyでは当初、Itanium 2だけをサポートし、Xeonは追加ラインアップとして用意されたということだ。BladeSymphonyにはそもそも、メインフレームに匹敵するエンタープライズサーバを目指したものであり、そのプラットフォームのプロセッサには信頼性と可用性に優れたItanium 2が最適だという思想があった。現在もハイエンドモデル「BS1000」はItanium 2が中心で、それにXeonを搭載したブレードも用意するという格好だ。ただし、小型高集積モデル「BS320」、中小規模システム向けモデル「BladeSymphony SP」はXeonを搭載したブレードのみの提供となっている。

ユーザーに選択肢を与えるラインアップ

 Xeonに加え、AMD Opteronプロセッサを搭載したブレードをラインアップしているのが、デルである。デルでは、仮想化とHPC分野においてはOpteronの能力が優れているとして、そのようなニーズにはOpteron搭載ブレードを推奨している。Xeonモデルが「PowerEdge M600」、Opteronモデルが「PowerEdge M605」で、いずれもクアッドコアまたはデュアルコアのプロセッサが最大2ウェイまで搭載可能になっている。

 HPはどうだろう。「BladeSystem c-Class」に対応したブレード「ProLiant BL」ではXeonとOpteronを採用。他社と同様に、クアッドコアまたはデュアルコアのプロセッサが選択できる。ProLiant BLが特徴的なのは、Core2 DuoやCeleronなど、デスクトップPCやエントリーサーバ向けに用意されているプロセッサを選択できる点。エッジサーバを低コストで集約する用途では、非常に重宝する。HPはもう1つ、Itanium 2プロセッサを搭載した「Integrity BL860c870c」もラインアップしている。こちらは主に、HP-UXが稼働するサーバのブレード化を想定した製品だ。

プロセッサで独自性を示す

BladeCenter製品ラインアップ IBMのサイトではブレード製品のラインアップを視覚的にマッピングしている(画像クリックで拡大)

 サンも、XeonとOpteronの両方をラインアップする。サンには、汎用のエンタープライズ向けの「Sun Blade 6000」、処理性能を重視した「Sun Blade 8000」という2つのブレードサーバ製品ラインアップを用意しているが、いずれもXeonとOpteronを搭載したブレードを提供している。Sun Blade 6000ではさらに、サンが開発するUltra SPARC T1T2プロセッサを搭載するブレードも用意されている。サンの最新プロセッサであるUltra SPARC T2は、ソケットあたり最大8コア、最大64スレッドの実行が可能であり、SPARCベースのSolarisサーバを統合するソリューションに最適なプラットフォームになっている。

 最も豊富なプロセッサの選択肢を用意しているのが、IBMの「BladeCenter」である。Xeonを採用した「HS21」「HS21 XM」、Core2 DuoとCeleronも用意した「HS12」、2ウェイOpteronの「LS21」「LS22」、4ウェイOpteronの「LS41」「LS42」を用意。さらに、IBM POWER6プロセッサを搭載した「JS22」「JS12」、PowerPC 970MPプロセッサの「JS21」、IBM PowerXCell 8iプロセッサの「QS22」、Cell Broadband Engineプロセッサの「QS21」など、そのラインアップの幅広さは圧巻。特に、CellによるHPCブレードは、他社にはない大きな特徴である。

 さらに、BladeCenter向けには、米Themis ComputerからUltraSPARC T2プロセッサを搭載したブレードも提供されている。このブレードにより、Solaris 8/9/10のアプリケーションがBladeCenter上で稼働するという。

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Xeon | Opteron | Itanium | POWER | SPARC | Cell


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