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» 2008年10月07日 15時11分 UPDATE

雲の向こうは天国か地獄か:クラウドに賭けることができるか? (1/5)

クラウドが勢いを増している。インターネットという雲にあらゆるものを置いてしまうというモデルは、特にシステム投資力の弱い中小企業にうってつけだ。ただ大企業が本格導入するには「サービス停止」というリスクの評価が必要になる。

[Stan Gibson,eWEEK]
eWEEK

 クラウドモデルが勢いを増していることは疑いようがない。大企業の多くはまだサイコロを振る準備ができていないようだが、IBMやAmazon.com、Googleなどのビッグプレーヤーはすでにさまざまなサービスを提供している。新興企業はクラウディングコンピューティングサービスを利用してコストを抑え、国防総省やメジャーリーグなどの大組織は低コストでスケーラブルなサービスを活用している。

 コンピューティングの未来を予想することは、天気予報よりはるかに難しい。あなたは会社の命運を「雲(クラウド)」に委ねることができるだろうか?

 低コストで柔軟なクラウドコンピューティングの魅力とそのリスクを比較検討するITエグゼクティブに、いまその問いかけは重くのしかかっている。おそらクラウドコンピューティング導入を躊躇させる最大の理由は、サービス停止の恐怖だろう。IT部門やビジネス部門のマネジャーたちの間には、データセキュリティや法規制との兼ね合い、あるいはベンダーの事業継続性などに少なからぬ懸念があるようだ。

 だが、つかみどころのない混沌としたコンセプトへの興味は、積乱雲の湿った空気よりも急速に発達しつつある。ベンチャーキャピタルも、小さな、風変わりな名前のスタートアップ企業の一群に大量の資金を降り注いでいる。長い伝統を誇るベンダーも、これはクラウド、あれもクラウド、と自社サービスの再編に躍起だ。あのデルでさえ、失敗はしたが、「クラウドコンピューティング」を商標にしようと考えたほどである。

 クラウドコンピューティングの定義はさまざまだが、その特性としておおむね一致しているのは次のような点だ。

  • 製品ではなくサービスである
  • 人手をほとんど、あるいはまったく介さず、Web経由で利用できる
  • 需要の急激な増減にも簡単かつ無制限に対応できる
  • 長期的な契約は必要なく、顧客は利用した分だけ料金を支払えばいい

 「Amazon Webサービス(AWS)」は、一般に典型的なクラウドサービスとして認知されている。Amazon.comが提供するアプリケーション開発用の「EC2(Elastic Compute Cloud)」と「S3(Simple Storage Service)」は、いずれもWebインタフェースが用意され、顧客は使用料をクレジットカードで支払うことができる。

 Amazon.comは、それらのサービスを「SimpleDB」や「Simple Queue Service」「Flexible Payments Service」、そしてオンデマンド労働力を提供するサービス「Mechanical Turk」(現在はβバージョン)などで増強している。

 2008年8月に、Amazon.comはEC2を「EBS(Elastic Block Storage)」で拡張した。EBSは、EC2インスタンスの終了後もストレージを維持できるようにするものだ。

 こうしたサービスの展開に積極的なのは、なにもAmazon.comだけではない。検索大手のGoogleは、クラウドベースのアプリケーション開発プラットフォーム「Google App Engine」を提供している。また、英国ではホスティングプロバイダーのXCalibre CommunicationsがWeb上でセルフサービスの仮想専用サーバ「FlexiScale」を提供している。

 「オンラインでサインアップするだけでいい」と、XCalibreのCOO、フィリップ・ハバー氏は説明する。「アカウントを作成すれば、1、2分でマシンをセットアップできる」

 クラウドにはいくつか基本的なタイプがあるという点で、業界オブザーバーの意見は一致する。Forrester Researchは、クラウド市場を次の5つのカテゴリーにセグメント化した。

  • WebベースのサービスとSaaS(サービスとしてのソフトウェア)
  • 開発者向けアプリケーションサービス
  • サービスとしてのミドルウェアインフラストラクチャ
  • サービスとしての仮想ITインフラストラクチャ
  • サービスとしての物理インフラストラクチャ

 ただし、すべてのクラウドが商用クラウドコンピューティングサービスプロバイダーによって構築されているわけではない。ITプロフェショナルからいま最も注目されているのは、一般の企業がクラウド方式で従業員に自社のITリソースを提供するコーポレートクラウド、すなわち“イントラクラウド”である。

 さらにコンピューティングクラウドの持続可能性を示すものとして、クラウドエコシステムの開発も進められている。その中でユーティリティベンダー各社は、クラウドのパフォーマンスをモニタするツールを作成し、クラウドアグリゲータはさまざまなクラウドサービスをパッケージ化している。

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