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» 2008年11月27日 19時09分 UPDATE

IT投資で経済危機を乗り越える:「ポスト金融クライシス」を見据えるHPの新サーバソリューション

経済危機が企業を直撃する状況だが「企業のIT投資マインドは冷え込んではいない」と見る日本HP。同社の2009年サーバビジネスを占うキーワードは「省電力」と「ストレージ/ネットワーク仮想化」になりそうだ――。

[石森将文,ITmedia]

IT投資には効率が求められる

日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 橘一徳 事業部長 日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 橘一徳 事業部長

 日本ヒューレット・パッカードは11月27日、同社ブレードサーバとストレージ製品について、ポートフォリオ拡充および価格改訂を伴う新ソリューションを発表。報道陣に対し説明を行った。

 日本HPにとって、11月という月は「年度始め」となる。会見冒頭、エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部の橘一徳 事業部長は2008年度のサーバビジネスを振り返り、「上期は堅調に推移したが、年度後半となる春以降はIT投資の落ち込みが見られた。特に秋にかけては、金融危機の影響もあった」と総括する。

 このような厳しい経済環境の中でも、企業は「投資効率の高いITシステム」への投資マインドは失っていないと橘氏は見る。その理由を、成長企業は既に“プリ クライシス”への対応を終え“ポスト クライシス”を見据えているからだとする。そしてHPはこのような投資ニーズに応えられるか? という観点でいえば、答えは“イエス”だという。

 橘氏はその根拠を4つの面から示す。それは、スケールメリットによるコスト競争力(HPはワールドワイドで約250万台/年のサーバを出荷。そのうち国内出荷量は50〜60万台/年)、運用管理コスト削減を果たすテクノロジの提供、高い製造品質を保証する国内生産体制、そして(VMware/Hyper-V/Xenといった)仮想化テクノロジによるITユーティライゼーションの提供だという。これら要素がもたらしたひとつの結果として、ISSビジネス本部 宮本義政 マーケティングマネジャーにより出荷実績が公開された。それによれば、2008年度のHPブレードサーバ(x86)の出荷台数は、前年度比163%の伸びを見せている。

「守りのコスト削減」を果たす3つのソリューション――既存製品の価格改訂も

 本日発表された新製品も、新年度に臨むにあたりこの流れを後押しするものといえる。まずHP BladeSystem c-Class用サーバの中核をなすHP ProLiant BL460cをアップデート。「BL460c G5」として販売を開始する。HPではこれを「省電力ソリューション」と称する。従来と同等性能でありながら省電力の部材を採用することで、1台当たり最大44W(従来比約25%)の省電力化を実現した。これは同社の試算上、c7000エンクロージャあたり約700W(5年間で68万円以上)の削減を果たす数字。CO2排出量にして17.1トンに相当する。同時にc7000エンクロージャ用電源モジュールのAC-DC変換効率を従来より「約5ポイント」改善し、最大92%の変換効率を実現した(一般的な電源モジュールの変換効率は、一部IBM製品などを除き90%に満たないものも多い)。出力も2400Wへ向上した(従来品は2250W)。

 なおシステムとしてのブレード運用を考えた場合、仮想化環境やクラスタ環境の構築が求められる。それには何かしら共有ストレージを用意する必要があるが、従来SAN環境を構築しデータ共有する手法としては、高価なFC(ファイバチャネル)を採用するか、転送速度の面でFCに大きく譲るiSCSI(4Gb/sのFCに対し、iSCSIは1Gb/s)が選択肢であった。この課題に対するHPの回答が「共有SASストレージソリューション」であり、製品としてはブレードサーバ用の拡張カード「Smartアレイ P700m/256 コントローラ」およびインターコネクトスロット用の「HP StorageWorks 3Gb SAS BL スイッチ」が発表された。これらは、HPの既存SAS接続ストレージ製品「HP StorageWorks Moduler Smart Array 2012sa」をブレードの共有ストレージとして利用できるようにするもの。

MSA2000シリーズのFCモデルと比較し、同等構成で24%のコストを削減 MSA2000シリーズのFCモデルと比較し、同等構成で24%のコストを削減

 FC SANを利用するには管理者側にもある程度のスキルが必要だったが、SAS接続の共有環境では、提供したい論理ボリュームと接続するサーバブレードを管理画面から選択するだけで構成できる。速度も3Gb/sと、FCに比べ遜色ない。コストについてHPでは、FCで構成した場合と比較し24%の削減を見込めるとしている。「中堅・中小規模の導入に最適」とストレージワークス製品本部 瀧澤一彦氏は位置付ける。

 3つ目のソリューションは「ネットワーク仮想化ソリューション」である。従来よりHPでは、「バーチャルコネクト」と呼ばれる特徴的なI/O仮想化製品を提供している。

バーチャルコネクトとは?

BladeSystem c-Classのインターコネクトスロットにスイッチ代わりに挿入するモジュール。仮想化されたI/O(プロファイル)を設定できる。モジュールの各ポートに、あらかじめ仮想的なMACアドレスを割り当て、そこに接続されたブレードのMACアドレスをBIOSレベルで書き換える。またSANのFCスイッチも用意され、FC HBA(Host Bus Adapter)のWWN(World Wide Name)を仮想化できる。GUI化された管理ツールであるVirtual Connect Managerから各種設定を行える。


 今回、バーチャルコネクトモジュールに新製品が追加された。「HP BladeSystem c-Classバーチャルコネクト Flex-10 イーサネットモジュール」(VC Flex-10)である。同製品により、ブレードサーバが備える10GbE物理ポートを最大4つのポートに分割できる。また各ポートは、100Mbpsから10Gbpsまで帯域を自由に設定できる。GUIベースの管理ツールから構成および変更ができ、管理者にとってネットワーク構成の柔軟性が増す。「仮想化環境では、1つの物理エンクロージャが複数サービスを提供するのが当たり前。それがネットワーク管理者に高い運用負荷をもたらしていた。VC Flex-10はこの課題を解決するもの」とISSビジネス本部 木村剛氏は話す。

before.jpgafter.jpg VC Flex-10適用前(画像=左)と適用後(画像=右)のイメージ。例えばデュアルポートの10GbEを平均2.5Gbの8ポートとして利用できる。ハーフハイト ブレードでは、最大8NICだったものが24NICまで拡張されることに

 ここまでの新製品の価格は次のとおり。出荷はすべて12月中旬を予定する。合わせて「HP BladeSystem c-Class」および「HP ProLiant」ファミリの189製品で、最大67%の値下げとなる価格改定が行われると伝えられた。

製品名 価格
HP ProLiant BL460c Generation 5 38万2200円
Smartアレイ P700m/256 コントローラ 3万1500円
HP StorageWorks 3Gb SAS BL スイッチ 69万3000円
HP BladeSystem c-Class 10/10Gb バーチャルコネクト Flex-10 イーサネットモジュール 138万6000円

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