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» 2009年03月25日 17時21分 公開

伴大作の木漏れ日:がんばれ日立 (1/4)

社長人事を発表した日立は今月、主力サーバ製品「Blade Symphony」を発表している。4年ぶりの発表というのは違和感があるが、ハードウェアを取れば企業のシステムインテグレーション需要を取り込めるため、奮起が期待できる。

[伴大作(ICTジャーナリスト),ITmedia]

 日立製作所は3月16日に、日立プラントテクノロジー取締役会長兼日立マクセル取締役会長の川村隆氏が、4月1日付で会長兼社長に就任する人事を発表した。現社長の古川一夫氏は副会長に退くという。

 2008年度に7000億円の赤字を計上すると見込まれる同社は、何はともあれブレードサーバなど情報通信分野の主力製品の販売に注力する必要がある。ここでは、日立の製品戦略を分析してみたい。

4年ぶりの製品発表

 日立は3月10日、主力サーバ製品「Blade Symphony」を発表した。前回の発表から実に4年ぶりだそうだ。業界の動向や新製品は日々変わっている。自社製品のフラッグシップともいえるブレードサーバについて、4年もの長きにわたって、新たな製品発表をしてこなかったことが不思議でならない。

BS2000シリーズ

 確かに、ハイエンドBS2000シリーズにはIntelの最新プロセッサ「Nehalem」(Xeonの最新型Quad Core)を搭載し、8GBのDDRが1CPUに9個ずつ拡張が可能。キャビネットにはネットワークの拡張性を考慮し、PCI Expressのポートがそれぞれのブレードごとに引き出せるような細工がしてあるなど、評価に値する点は数多い。

 価格もチャネルにより変わるだろうが、最小構成で250万円前後まで下げられるとの話を会場で聞いた。競争力はありそうだ。確かに意欲的な新製品といえる。しかし、プラス要因を加味しても、「本当に日立はブレードに本気なのか」というわたしの疑問は晴れない。

販売見込み

 今回の発表会で同社情報通信グループCSO理事を務める北野昌宏氏は、Blade Symphonyが過去3年間で累計800億円の売上高があり、今後2年間で1700億円の売上高を目指すと発表した。同社の連結売上高は2007年度の決算で11兆2267億円。その内の1兆3086億円が情報通信グループなので、今回公表されたブレードサーバ関連の売上規模がいかに小さいかが分かる。

 しかも、発表されたBlade Symphonyの売上高にはストレージ製品、サポートなども含まれているという。そうなると、実際のブレードコンピュータの売上高はどれほどなのだろうか。国内市場において、IBM、HPなど世界で大きなシェアを獲得しているベンダーと互角に戦っているというが、どの市場を対象にしているのかは分からない。発表会で「弊社はコモデティ製品に興味はない」と語ったが、結果として、大企業のみに市場を絞ったことで導き出されたターゲット市場シェアなのかもしれない。

競合他社の反応

 ちなみに、IBMに近々のブレードの出荷量と製品の発表時期について聞いてみた。IBMの広報部は「出荷量に関してはコメントできない」とのこと。4年ぶりという日立の製品発表に関してIBMの広報には「日立の基本的な方針はメインフレームを意識した万全のサポートを前提としているのでしょうから、長期でも耐えられる設計になっているのかもしれません。しかしながら、弊社では最新の技術提供との兼ね合わせで、ブレードに関しては1年、シャーシはおよそ2年で新製品を投入しています」という回答をもらった。 

 HPのコーポレートマーケティング本部にも同じようにブレードの出荷量と製品の発表時期について質問をぶつけた。「他社の製品や出荷データにコメントする立場にない」とはしたものの、「出荷量に関しては世界で2008年夏に54.7%(IDC)、日本市場に関してはこちらもIDCのレポートで同時期40%程度という発表がある」とコメントをもらった。製品の投入に関しては「CPUの進化に合わせ、ブレードの新製品は年に一度くらいは発表している」との回答であった。このように、外資系大手2社は、概して日立の発表に余裕を持って受け止めているようだ。

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