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» 2009年04月16日 08時30分 UPDATE

アナリストの視点:不況下でも強いデータセンタービジネスの今 (1/3)

企業のIT投資意欲は不況の影響で減少している。だが、情報システムの運営コストや管理負担を減らせるとして、データセンターを積極的に活用する動きは今後も継続する。不況下でも強いデータセンタービジネスの現在を分析する。

[富士キメラ総研,ITmedia]

データセンタービジネスは不況下でもプラス成長

 不況下において、ユーザー企業からのコスト削減の要求、企業の倒産や解散による契約解除、外資系金融の事業縮小や撤退などが起こっている。だが、総保有コスト(TCO)削減の一環で、情報システムをデータセンターに移行したいと考える企業は多く、ビジネスは今後も高い成長が期待できる。成長要因は、企業の内部統制の強化、リスクコントロールへの要望、サーバ統合による合理的なシステムの再構築、ユーザーが保有するデータセンターの老朽化――などさまざまだ。

国内におけるデータセンター市場の実績と推移予測 図1:国内におけるデータセンター市場の実績と推移予測(出典:富士キメラ総研『データセンタビジネス市場調査総覧2009年版)

 こうした動きに伴い、国内における2008年のデータセンタービジネスの市場規模は1兆2545億円になる。2009年は600億円近く売上高を伸ばし、1兆3166億円に上る見通しだ。2008年から2013年までは年平均成長率7.1%で推移し、2013年には約1兆7670億円に達する(図1)。

市場拡大をけん引するアウトソーシング事業

 2008年におけるデータセンターサービスの売り上げ構成を見ると、サーバやストレージの運用、保守を請け負う「運用管理(MSP:Management Service Provider)」の分野が全売上高の約30%を占め、最も大きかった。システム運用までを含むアウトソーシング型の事業が同市場をけん引していることが分かる。

 次にベンダーの業態を「コンピュータベンダー/システムインテグレーター」「キャリア」「データセンター特化型(ファシリティ)」「データセンター特化型(サービス)」に分け、それぞれの特徴を見ると以下になる。

コンピュータベンダー/システムインテグレーター:大規模なアウトソーシング型のサービスを展開しているため、運用、監視などのMSP事業の比率が高い。同ベンダーは、実に市場全体の約80%の売り上げをはじき出している。

キャリア:全国各地にビル資産を保有しているベンダーが多い。通信機器のダウンサイジングで空いたスペースを有効活用するためのデータセンターサービスを実施している。

データセンター特化型(ファシリティ):ファシリティ需要が供給を上回っている都内において、高性能型のファシリティサービスを提供することで価値を高めている。

データセンター特化型(サービス):中堅・中小規模の企業を対象にしたレンタルサーバ事業者やMSPに特化した事業者、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)/ASP(ソフトウェアの期間貸し)ベンダーが市場を形成している。


基幹システムのアウトソーシングが進む

 ユーザー企業がデータセンターに預けている情報システムの割合を区分したのが以下の表だ。

情報システムの区分 割合(2008年)
基幹系システム 55.5%
情報系システム 21.5%
インターネットシステム 13.9%
BCP/DR 9.1%

 2008年は、金融分野を中心とする勘定系システムの共同利用や大規模ユーザーからのシステムのフルアウトソーシングなど、1案件当たりの金額規模が大きな基幹系システムの請負が、50%以上を占めた。

 また、情報系システムでは、データセンターサービスを活用しようとするニーズが各業界で根強かった。部門システムなどを中心にデータセンターを有効活用しようとする動きが堅調で、今後は新規システムへの投資を中心に、市場が拡大する見通しだ。

 インターネットシステムは、インターネットバンキングやxSP(コンテンツサービス/インターネットサービス/ストレージサービス/ネットワークサービスプロバイダーなど)へのホスティングサービス、ハウジングサービスが主力となった。サービス利用者の増加が見込めるため、こちらも市場の拡大に貢献する。

 BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)は、金融庁によるBCPの推進動向にあわせて、2007年から2008年にかけて急成長した。だが、経済不況の影響などでBCP/DRへの取り組みを見合わせる企業が増えるとともに、既存のBCP/DRサービスのレベルを下げてコスト削減につなげる動きも見られるため、2010年まではマイナス成長になる見通しだ。だが、BCP/DRに対する企業のニーズは根強い。景気回復とともに同市場はプラス成長に転じると推測される。

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