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» 2009年05月20日 08時30分 公開

アナリストの視点:機は熟したデジタルサイネージ市場 (1/2)

販売促進や広告配信の在り方を変える新たなメディアがデジタルサイネージだ。企業やロケーションオーナーの期待も厚く、市場規模は右肩上がりで拡大を続ける。デジタルサイネージ市場の今をアナリストが読み解く。

[山田英吾(富士キメラ総研),ITmedia]

 各種情報の電子データをディスプレイに表示するデジタルサイネージ(電子看板)が商業施設や交通機関、公共施設に設置され、「パブリックディスプレイ」としての活用事例が増えている。

 パブリックディスプレイは、10年以上前から「ストリートメディア」「アウトオブホームメディア」として利用が進んできた。近年はブロードバンドの普及、ITインフラの整備、液晶/プラズマディスプレイなど薄型モニター製品の価格低下に伴い、デジタルサイネージとしての需要につながっている。

 活況な同市場には、ディスプレイ販売やシステム構築のメーカーだけでなく、コンテンツ制作・配信業者、広告代理店といったさまざまな事業者が参入している。電子看板を設置するユーザー(ロケーションオーナー)を含む関連企業の注目度は、日増しに高まるばかりだ。

デジタルサイネージ市場の概況

デジタルサイネージ国内市場規模推移 図1:デジタルサイネージ国内市場規模推移(出典:富士キメラ総研デジタルサイネージ市場総調査2008』)

 こうした動向から、2008年における国内のデジタルサイネージの市場規模は、前年比113.6%の649億500万円に上った(図1)。ディスプレイおよび配信システムの市場では需要が増加しているものの、低価格化のあおりで金額ベースでの伸びは鈍化している。代わって、機器やシステムを導入した後のコンテンツ制作・配信サービスおよび広告関連の市場が拡大している。その結果、2010年には780億円(2008年比120%)にまで市場規模が拡大する見通しだ。

 同市場以外にも、順調に規模を拡大している分野がある。(1)自社で運用するユーザーがコンテンツのみを外注する「コンテンツ制作」、(2)スタンドアロン(単体)およびコンテンツの配信に対応していない「周辺機器」、(3)導入後の「保守サービス」――などだ。周辺ビジネスとして存在しているこれらを含めると、デジタルサイネージの市場規模はさらに膨れあがる。

交通・金融から店舗・商業に広がり

 デジタルサイネージのメリットは、効果的な情報をタイムリーに配信できることだ。複数拠点にコンテンツを一括配信し、リアルタイムに管理できる点、時間帯や設置場所に応じたコンテンツの切り替えやスケジュール管理ができる点などが具体例として挙がる。

 そのため、ネットワーク化やタッチパネル機能の付加、携帯電話やICタグとの連動などによる双方向的(インタラクティブ)な活用が実現する。POS(販売時点管理)データと連動したコンテンツの自動切り替えなど、マーケティング関連にもその活用範囲を広げることが可能だ。

 デジタルサイネージは当初、金融機関の金利/株価情報、交通機関の運行情報といった更新頻度が高い情報の分野を中心に、市場が形成されていた。その後、機器やシステムの低コスト化、ディスプレイの薄型化による設置性の向上、ASP(ソフトウェアの期間貸し)サービスを含むコンテンツ制作、配信、運用の簡易化が進んだことで、今や看板やポスターに代わる広告媒体になりつつある。

 導入実績が増えているのは、百貨店やショッピングセンターなどの大型商業施設だ。施設や店舗の案内をリアルタイムに配信することで、ユーザーの利便性向上、店舗までの誘導ができる。売り場付近で商品やキャンペーン情報を表示し、販売促進につなげたり、チェーン店舗で、本部から各店舗に情報を一括配信したりするといった用途も出るなど、小売業ではデジタルサイネージの需要増が顕著に現れている。

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