SaaS導入ユーザー、多くに「不満あり」――Gartner調べ宣伝とは違う

SaaS利用企業の3割が利用を拡大する予定だが、6割は現状維持と回答した。

» 2009年07月09日 17時11分 公開
[ITmedia]

 米調査会社のGartnerが7月8日に発表した調査によると、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)は最近の隆盛にもかかわらず、導入したユーザーの多くが現在の体験に満足しておらず、このサービスは宣伝されているような“万能薬”ではないと感じていることが明らかになった。

 同調査は2008年12月、米国と英国でSaaSを導入しているか導入を検討している333の企業を対象に行われた。

 58%の企業が向こう2年間はSaaS採用の現状を維持するとしており、32%が拡大、5%が利用を中止する、5%が利用レベルを縮小すると回答した。

 「ビジネス向け機能」「プロバイダーの対応」「性能の信頼性」「サービスの信頼性」「コンプライアンスおよびリスク管理のサポート」(項目は得点が高い順)など16項目にわたっての満足度を7点満点で尋ねたところ、回答の平均は4.74点だった。

 SaaS導入の決定に影響した要因を3つ挙げる設問では、「技術的な要件を満たす」が46%で最も多く、「セキュリティ、プライバシーおよび(または)信頼性」が33%でそれに続いた。「統合の簡便性」と「ビジネス部門に必要な機能」が29%で同列3位だった。

 SaaSの導入を検討後に見合わせた回答者にその理由を尋ねたところ、42%が「コストが高い」、38%が「統合が難しい」、33%が「技術的要件に合わない」と答えた。

 Gartnerはこれらの結果から、SaaSベンダーに必要なのはTCO(総保有コスト)の低減、導入と統合の簡易化への取り組みであり、最も重要なのはSaaSの基本――軽量、シンプル、直感的、俊敏、堅実――に立ち返ることだと指摘している。

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