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» 2009年09月11日 13時16分 公開

あらゆる顧客をカバーする戦略へ舵を取る米Entrust

認証大手のセキュリティ企業Entrustは、このほどファンドの買収によって非公開企業になった。新しい経営環境でどのようなビジネス展開を図るのかを上級副社長のピーター・ベロ氏が語った。

[國谷武史,ITmedia]

 認証やPKI、暗号化を主力とする米セキュリティ企業のEntrustは、このほどプライベートエクイティファンドのThoma Bravoの買収により非公開企業となった。政府系や金融系の顧客を多数抱える同社はあらゆる法人をカバーする戦略へシフトするという。

 今後の展開を上級副社長兼ジェネラルマネジャーで日本法人エントラストジャパンの取締役も務めるピーター・ベロ氏が語った。

広範な顧客をカバーできる体制になったと話す米Entrustのピーター・ベロ上級副社長兼ジェネラルマネジャー

 同社ではこれまで、電子政府やオンラインバンキング、電子商取引といった高いセキュリティレベルが要求されるサービスに対し、ID管理および認証、伝送中を含めた包括的なデータ保護などの基盤を提供している。顧客数は2000組織近くに上り、行政機関や金融、大手企業が主要顧客である。

 非公開化の目的について、ベロ氏は「2つの理由があり、1つは高度なセキュリティ基盤を引き続き追求していくこと。もう1つは厳しい経済環境において、より多くの企業や法人がこのセキュリティ基盤を手にできるようにわたしたちのマネージメントを強化する必要があった。Thoma Bravoはこれらの目的を支持してくれた」と話す。

 この買収に伴う経営陣の刷新は行わず、グローバルおよび各拠点のボードメンバーの変更はほとんどないという。「既存の事業領域やパートナーとのエコシステムに変化はないが、経営陣がよりビジネスの現場に近い立場で活動できるようになったことで、新規事業や戦略の展開が加速される。これは日本市場に対しても同じだ」(ベロ氏)

顧客拡大へ本格着手

 ベロ氏は、今回の非公開化が顧客拡大を狙う戦略へ本格的にシフトするきっかけになると話す。しかし、実際には3年ほど前からこの戦略に必要なソリューション提供方法の拡充やライセンス体系の見直しを行っており、政府系から中堅・中小企業までをカバーできる広範なラインアップを非公開化のタイミングと併せてほぼ実現したという。

 「パッケージをインハウスで使うケースから、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)として必要な時に必要な分だけ使いたいというニーズで対応する。多数の一般顧客を相手にするオンラインサービスで大規模なID管理基盤が必要になれば、中小企業でのパンデミック対策として一時的にリモートアクセスのための認証基盤がほしいというものもあるだろう。われわれはどのような内容、規模のニーズにも必要なソリューションを提供する」(ベロ氏)

 例えば、今後の感染拡大が予想される新型インフルエンザ対策であれば、企業では多数の社員が在宅勤務を強いられる可能性があり、自宅から社内の業務システムへ接続する必要がある。社員を認証するためIDやパスワード、電子証明書、クライアントや通信経路などでのデータ保護、企業側での認証、データ処理などの基盤が必要になるが、同社ではこれらの要素をカバーできるという。

 また、同様に医療分野では大量の患者が発生することでカルテなどのデータを管轄機関や医療機関が頻繁にやり取りしなければないないケースも予想される。データを取り扱う担当者の認証や患者の個人情報を適切に保護することが求められるが、政府系ユーザーなどを同様に強固なセキュリティ基盤を包括的に提供できるのが同社の強みだとしている。

 最後にベロ氏は日本市場に対して、「国内パートナーはそれぞれに強い業界、規模の顧客を抱えており、今まで以上に顧客へアプローチできるようになることを支援したい。顧客とパートナーにはぜひ期待していただきたい」と語っている。

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