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» 2009年09月18日 08時00分 UPDATE

e-Day:クラウド狂想曲の陰で忘れられているクライアントPC管理

Windows 7への期待がじわりと高まってきているが、途方もない台数をバージョンアップする企業の情報システム部門にとっては、これほど厄介なものはないだろう。

[浅井英二,ITmedia]

 この9月からWindows 7の法人向けボリュームライセンス販売が始まっている。広範なユーザーに向けた発売は10月22日なので、まだ実感はわかないが、新しいOSへの期待は少しずつ聞こえてくる。

 しかし、Windows 95や98のように秋葉原の電器街でカウントダウンするような時代は遠い昔だ。企業においてWindowsは、基幹業務のデータを出し入れする「窓」となり、コラボレーションのためにも欠かせないツールとなっている。抱えているPCが数千台、数万台にもなる大企業では、OSのバージョンアップやPCそのものの更新となるとたいへんだ。

 調査会社、アイ・ティ・アールでシニアアナリストを務める生熊清司氏は、「サーバはある程度拠点に集約できているが、PCはそうはいかない。台数は桁違いに多いし、場所も会社によっては全国津々浦々に散らばっている。情報システム部門からすると、目が届かず、管理は非常に難しい」と課題を指摘する。

 ひところ「いったい会社で何台のサーバが稼働しているのか把握できていない」といった嘆きがIT管理者から聞かれたものだが、PC管理の課題はさらに深刻だ。何台のPCがあるのか? どの型番か? OSは? インストールされているアプリケーションは? これらが把握できていなければ、ヘルプデスクの負荷もたいへんだし、今回のように新しいOSが登場してきても、バージョンアップそのものがたいへんな作業になるのはもちろん、その計画すら立てられない。

 マイクロソフトは、法人向けボリュームライセンスを国内発表した際、期待も込めて1600万台を超えるPCがWindows 7にアップグレードされると見積もっている。途方もない台数だ。言うまでもないが、これは今流行りのクラウドコンピューティングを活用したからといって解決できる問題ではない。

 「PCのアプリケーションもWeb化が進んでいるが、ユーザーは基幹業務のアプリケーションばかりを利用しているわけではない。オフィススイートを使っているだろうし、利便性を考えてデータも手元に置きがちだ。自由度とセキュリティのバランスも考えなければならない。クライアントPCの管理は最も厄介なものになりつつある」(生熊氏)

 米国の調査会社、Forrester Researchのレポートも、「分散化とモバイル化」や「肥大化」(インストールアプリ数の増加)が企業のIT管理者を悩ませている実態を浮き彫りにしている。この調査は、Microsoftが委託したもので、同社はこのレポート結果を活用してWindows 7を宣伝するキャンペーンを展開しているという。

 そこでは、Windows 7とWindows Server 2008 R2を組み合わせ、積年の課題を解決するとともに、ITコストの削減にも成功している企業が紹介されているが、果たして日本の企業の情報システム部門は、この厄介なPCクライアントをどうすればいいのか?

 ご存じのように米国企業との違いが、ここでも見られる。彼らは、PCは仕事のために会社が支給する事務機、という考え方が徹底しており、メーカーや機種、OSを可能な限り統一するだけでなく、インストールするアプリケーションも部署や役割によって標準化している。インストーラーが専用にカスタマイズされているのも珍しくなく、ネットワークに接続すれば、あとは標準のアプリケーションがするするとインストールされる。

 「同じ企業でもユーザーごとにメーラーが選べるようになっているなんて、米国の企業には理解できないのではないか。日本企業も標準化をできるところから進めるべきだ」と生熊氏。

 クライアントPCも仮想化してデータセンターに押し込める、いわゆる「デスクトップ仮想化」の時代もやがて到来するだろうが、それには多額の投資が必要になる。ここは、さまざまな管理ツールが市場に出ているので、それらを活用し、現状の把握から始めるべきだろう。

 それでは、肝心のWindows 7はどうなのか?

 「Windows 7? 日本の企業ユーザーからの期待も高いようだ。ただし、Windows XPも2014年4月まで延長サポートが受けられるので考えどころだね……」(生熊氏)

 ITmediaエグゼクティブ編集部では今月末、「今考える企業クライアントの姿」をテーマに都内でフォーラムを行う予定だ。この続きを生熊アナリストから聞きたければ、足を運んでみてはどうだろうか。

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