勝ち残る企業のWebプロモーション

「祭り力」――鍛えていますか勝ち残る企業のWebプロモーション(2/2 ページ)

» 2009年12月04日 08時30分 公開
[怒賀新也,ITmedia]
前のページへ 1|2       

広告の新たなスタイル

 人々は、東京の街に突然現れたhotaru-sanのパフォーマーの姿を写真に撮り、ブログやTwitterにアップする。このとき「従来は広告の受け手であり続けた一般消費者が、一転して情報の発信者、つまり広告を打つ企業側と同じ立場に変わる。これを気持ち良いと感じ、hotaru-sanを応援しくれるはず」(西尾氏)という思いで、企画を前に進めた。

渋谷のハチ公前でアピール。許可を取っていたこともあり、トラブルは起きなかった

 「光ファイバーの潜在ユーザーである一般消費者が、自分も当事者として感情移入し、プロジェクトを育てたいと思うような“スキ”を意図的につくった」(同氏)。「バカバカしい」と思われるかもしれないが、芸術性の高い施策よりも、祭り重視の日本人には「未完成に見えるものの方が受け入れられる」(中里氏)という。

hotaru-sanの正体は影響力を持つ女性ブロガーだ

 さらなる仕掛けも用意している。実は、黒い着ぐるみを着たhotaru-sanのパフォーマーは、テレビで活躍するなどそれぞれが影響力を持つ「美人ブロガー」でもあるという。このブロガーを題材にした口コミ、彼女たち自身による口コミにより、プロジェクトへの認知度が高まると見込む。

 既に、このブロガーたちが着ぐるみを脱ぎ、笑顔でリラックスする様子を収めた動画作品「美人の無駄遣い」がアップされており、7000回以上視聴されている。女子によるこうした口コミネットワーク自体が「メディア」になる時代が来ているのかもしれない。

 ちなみに、プロジェクトに参加したブロガーたちは、基本的にアルバイト料などを受け取っていないが「青春の1ページにします」などと話している。プロジェクトを運営した彼女たち自身が、hotaru-sanプロジェクトという祭りを楽しんでいたといえそうだ。

新宿駅の大きな階段にも出没した

 一般に、Webを使ったプロモーションを仕掛ける際は「ブログ、Twitter、動画を組み合わせる」というように、技術的条件を満たすことに関心が行ってしまいがちだ。実際には、情報の受け手である消費者の心にリーチしなくては意味がない。その解決策が祭りということになる。

 今後企業が仕掛けるWebプロモーションの数はますます増加すると考えられる。仕掛け人は、自らに「祭り力、鍛えていますか」と問うてみてはいかがだろう。

hotaru-sanの衣装を脱いで撮影に応じる女性ブロガー

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

関連ホワイトペーパー

ブログ | マーケティング


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ