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» 2010年02月19日 08時00分 UPDATE

導入事例:ファーファが語る?――IT基盤が標準化される安心感

洗剤ブランド「ファーファ」で知られるニッサン石鹸は、ファーファのTwitterアカウントを設けたりiPhoneアプリを配布したりするなど、社外への情報発信を進めてきた。併せて2009年、社内的なIT基盤刷新にも取り組んだという。その効果を、ファーファ自身が語る……?

[石森将文,ITmedia]
fafa.jpg ニッサン石鹸のファーファさん。普段はハダカ(毛皮オンリーの状態)で過ごすことが多いというが、今日は取材ということでジャケット姿での登場である

 ファーファ――その名称に覚えのある読者も多いのではないだろうか。衣料用の洗剤や柔軟剤、または台所用洗剤や入浴剤などとして、ひろく製品展開されているブランド名である。

 その製造と販売を手掛けるのが、東京都墨田区に本社を構えるニッサン石鹸。もともとファーファブランドはユニリーバが所持していたが、2006年に事業撤退を表明した同社から受け継ぐ形で、ニッサン石鹸により、取り扱われている。

 取材に同席(?)してくれたファーファさん(取材ということでジャケット着用。決して中の人などいない!)は「近年の露出は、新聞や雑誌、そしてテレビではなく、Webが中心」と話す。「10年ほど前からテレビCMは放映していないが、それでも皆、ボクのことを覚えてくれています」(ファーファさん)

 実際、ニッサン石鹸は3年ほど前から、自社サイトの拡充にも力を入れてきたという。製品紹介や、壁紙の提供といったオーソドックスなものから、ファンブログを組織したり、Twitterでつぶやいてみたり(Twinavi公認の企業公式アカウント)、最近では拡張現実(AR)型のiPhoneアプリ、「Air fafa」のリリースまで果たした。先進の、と言われるようなWeb上の取り組みには、ひと通りチャレンジしてきたと言えるだろう。

 ニッサン石鹸 総務部 システムグループの染谷崇文氏は、「もともと社内には、新しいITツールを使っていく風土がありました」と話す。例えば同社では、市場で一般化するのに先駆けて、内線電話をVoIP(Voice Over IP)化したり、IPビデオ会議端末を設置したりといった、当時最先端の取り組みを進めてきたという。「事業所や工場などが関東地区から関西地区までまたがっているため、ビデオ会議でミーティングするという文化は、既に一般的なものになっています」(染谷氏)

 とはいえ、数年にわたる運用を続けてきた中で、問題が生じないわけではなかった。例えばニッサン石鹸は、回線として複数の専用線を契約し、副回線としてはISDNを利用していたが、早く、そして安価なADSLや光回線が一般化したにもかかわらず、移行のタイミングを逸してしまっていた。最近になって速度や音質、そして画質に不満が出てきたが「導入を担当した当時の担当者は、既に退職してしまいました」と染谷氏は話す。

「現象は分かるが、原因が分からない」

 前任を引き継ぐ形で、ニッサン石鹸のIT基盤を任された染谷氏だが、社内に張り巡らされたIT関連のサービスや資産の把握は、困難を極めたという。

 前任者は高いスキルを持っており、ハードウェアを自作することでコストを抑えつつ、自作できないものは市販の製品を組み合わせる形で、IT基盤を構築していた。しかし彼が退職した今となっては、ネットワークに障害が発生した場合の原因個所の特定に時間がかかってしまうし、特定できても「自作」と「市販」の組み合わせのため責任範囲の切り分けも難しかった。

 障害が発生したり、内線電話やビデオ会議のパフォーマンスが低下したりした場合は、染谷氏に報告が入る。染谷氏はサービス復旧に向けて対処しなければならないが、「現象は分かるが、原因が分からない」(染谷氏)という状況に陥ることもあったという。

 これでは業務に影響が出るため、染谷氏は専用線を契約している通信事業者に相談することにした。しかし驚くべきことに(ある意味では当然なことに)、得られた見解は「パフォーマンスを安定させるためには帯域の強化が必要で、それにはさらに、コストが掛かる」というものだった。

 ただでさえ割高な専用線にさらに投資し続けるのは非効率――このような観点から染谷氏は、2009年の春から秋にかけ、付け焼刃ではない、本格的なIT基盤の刷新に取り組むことにしたという。

「絶えず標準化されているという安心感に」

 「重視したのはセキュリティとスピード、そしてコストです」と染谷氏は振り返る。これまでの管理負荷やコスト過多の原因とも考えられるオンプレミスなIT基盤から脱却するため、染谷氏は極力社内にハードウェアを置かないという方針を立てた。

 方針立案の背景には、ニッサン石鹸が抱える課題をヒアリングした上で、それを解決し得るソリューションを提示したベンダー――ソニーブロードバンドソリューション――の存在があったという。結果としてニッサン石鹸が選択したのは、ソニーの法人向けITソリューション“bit-drive”が提供する各種サービスであった。

 染谷氏は、従来は自作のハードウェアでまかなっていたものもあるメールサーバやプロキシサーバ、DNSサーバといった機能をbit-driveのクラウド型サービス“マネージドイントラネット”で運用することとし、そこにウイルスチェック、スパムチェック、Webフィルタといったオプションサービスを組み合わせた。「従来環境では、日々多くのスパムメールに悩まされましたが、今は解放されました」と商品開発部の齊藤和巳 次長は評価する。

 回線は、専用線に対しコストパフォーマンスに優れるインターネットの光回線に移行した。併せて可用性を確保するため、ADSL回線により冗長化されている。

また自作のハードウェアと市販のものを組み合わせていた環境から、bit-driveに一元化した環境に移行したことで、サポート窓口を一本化できたことも、染谷氏、ひいてはニッサン石鹸にとって大きな安心感につながったという。

 「サービスレベルを大きく改善できたにもかかわらず、各種サービスの運用コストは4分の1になりました。回線コストを合わせて試算しても、半額にはなっているでしょう」と染谷氏は話す。フロアを占めていたハードウェアも削減され、オフィスの統合、合理化にも寄与しているという。

 併せて染谷氏は、「問題の切り分けが明確になったのもさることながら、各種機器やアプリケーションに個別にパッチを当てる必要がないのは、大きな改善点です」と評価する。「絶えず標準化されている、という安心感につながっています」(染谷氏)

IT基盤の改善がビジネスの成長に

 実際にITサービスを利用する、社員の反応はどのようなものだろうか? 東日本営業部 第一グループの野村俊介氏は「自分たち営業職は、社外からノートPCでリモートアクセスすることも多い。そのようなケースでも回線が安定しており、業務効率が明らかに改善しました」と話す。

 また野村氏は、「今後は、現状では部署ごとに散在している製品データベースを一元化し、全社で共有できる統合データベースとして、VPN上で利用できれば」と展望を述べる。経理部の及川泰平氏も「ネットワーク基盤がととのった事で、これから本格的に各拠点間のペーパーレス化を進め、経理の立場からも地球環境にやさしい会社『ニッサン石鹸』を目指そうと思います」と話す。

 IT基盤の改善が、ビジネスの成長を促す――今回の取り組みを通じ、ニッサン石鹸の業務環境は新しいステージに入ったと言えるだろう。

fafa_all.jpg 向かって左から及川氏、野村氏、移行を主導した染谷氏、齊藤氏、そして――ファーファさん

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