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» 2010年03月04日 08時00分 UPDATE

アナリストの視点:「本当のクラウド」とは何か (3/3)

[小林明子(矢野経済研究所),ITmedia]
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クラウドの意義と価値が問われる 

 再び、「本当のクラウドとは何か」という議論に立ち返ろう。クラウド市場の成長に対する期待は大きいが、従来型のサービスとクラウドサービスには明確な境界線や定義、条件がない。ITベンダーは、サービスを提供する企業にクラウドの意義と価値を明示するべきである。

 クラウドを判断する基準の1つは、サービスに仮想化技術や拡張性、運用の自動化、標準化といった価値が付加されていることである。

 サービスの品質も重要な基準だ。時代の流れや注目度に便乗した玉石混交のクラウドサービスが立ち上がれば、事故が起きる危険性も高まるからだ。先行するGoogleやSalesforce.comのサービスレベルを見ると、セキュリティやパフォーマンスは標準的なシステム以上といえる。惜しみない投資や研究開発を行い、品質向上に努めてきた成果が見て取れる。

 また、サービスを使う企業のメリットも考えなくてはならない。クラウドが耳目を集める第一の理由は、コスト削減への期待だ。不景気の中、多くの企業にとってコストは喫緊の課題である。だがITベンダーがアピールするのは、「日本のクラウドサービスは高価格だが高品質である」という内容であり、コスト削減効果は明確ではない。

 クラウドが真価を発揮するのは、高い価格競争力に加え、スピードや利用形態の柔軟性といった特性が伴ってこそだ。クラウドサービスの価格は、ハードウェアやソフトウェアの購入や保守のコストだけではない。企業は、サービスの維持や管理に必要なシステム要員の人件費、機器設置スペース、エネルギーコスト、受託開発にかかる時間と機会のロスまでを比較し、クラウドサービスのメリットを理解していく姿勢が求められる。

 期待に失望が伴うのは世の常である。拙速にクラウドと名乗りを挙げるだけでは、萌芽したばかりのクラウドの評価を落とすことにもつながりかねない。ITベンダーは理念を持ってクラウド市場に参入し、その価値をユーザーに訴求してほしい。

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