カシオ、ブックレット型ハンディターミナルを参考出品DSにも似ている?

カシオは同社のネットレジに対応するブックレット型ハンディターミナルをリテールテックJAPANに参考出品。アナログ的な使い勝手も重視した作りになっている。

» 2010年03月11日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

 インターネット接続することで、売上集計管理や電子決済を利用可能とする「ネットレジ」。そのハードウェアを手掛けるカシオ計算機(以下、カシオ)が、中小の飲食事業者向け「オーダーエントリーシステム(仮称。正式名称は検討中だという)」を3月12日まで開催されているリテールテックJapan 2010に参考出品した。

 従来、特に大手飲食店チェーンなどでは、ハンディターミナル型、PDA型のオーダーエントリー端末が使われてきた。開発に柔軟性、拡張性がある反面、中小の事業者に取ってはコストが高くつき、また従業員にとって、“階層化されたメニューへの親しみにくさ”という問題もあった。

 「ネットレジの既存ユーザーから“オーダーエントリーに特化した端末をカシオから出して欲しい”という要望を受けていた」と話すカシオ システム戦略部 SA企画室の大沢武 担当課長によると、「とにかく使いやすさ、それと端末当たりのコストにこだわって開発した」(大沢氏)という。

 このオーダーエントリー端末を一見すると、コンピュータの遺伝子よりも文房具の遺伝子が多く流れている印象を受ける。6ページまで追加できるリフィル型のブックレットメニューが、その印象をもたらしているのだろう。基本的なオペレーションは、ブックレットからオーダーされた品を押し、あとは端末右上のテンキーから数量を指定するだけ。オーダー内容は電子レンジなどとの干渉が少ない430MHz帯無線でコントロールボックスへ送信され、キッチンプリンタから出力される。

リフィルのように追加できるブックレットメニュー(写真=左)、閉じた姿はニンテンドーDSに見え……ないこともない(写真=中)、コントローラボックスとキッチンプリンタを重ねたところ。端末は10台、プリンタは5台まで制御できる(写真=右)

 POSシステムを入れられない中小の飲食店の場合、注文を手書きの伝票で取った結果、オーダーミスや飲食物の提供順が前後してしまうことがあるが、そのようなケースの防止を見込める。またブックレットメニューのレイアウトは編集可能で、例えば居酒屋における生ビールのようにオーダーが頻発するものについてはスペースを大きく取ることもできるという。

 ブックレット部分を液晶画面化すれば、操作への習熟が必要になるし、破損のリスクも増える。バッテリーの持ちにも影響するし、何よりも端末のコストに影響してしまう。残念ながら現時点ではオーダーエントリー端末の価格は未定だが、大沢氏は「ユーザーに受け入れてもらうためには、価格は重要なポイントだと考えている」と話す。

 数値基準は現時点で未公表だが、飲食店での利用が多くなるだろうという事情から、端末には耐衝撃・防滴設計が盛り込まれる見込み。「価格と使いやすさ、そしてネットレジによる経営の可視化を通じ、中小飲食店の“お店作り”をサポートできれば」と大沢氏は話す。

 発売時期は未定ながら「2010年夏ごろの市場投入を目指す」(同社広報)としている。

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