野村證券も利用するIIJのクラウドサービス、ユーザー事例を紹介

2009年10月に開始した「IIJ GIO」サービスのユーザー事例や新サービスの導入計画などを発表した。

» 2010年04月27日 16時25分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月27日、クラウドコンピューティングサービス「IIJ GIO」のユーザー事例を報道機関に紹介した。併せて今後導入する予定のサービスも発表した。

 IIJ GIOは、同社のデータセンターのリソースを提供するもので、2009年11月に開始した。インフラやプラットフォーム、アプリケーションなど1000通り以上の組み合わせを提供する。

 同社は、ユーザー事例として野村證券、個人向け間接資材販売サイトを運営するアスマル、第一興商のケースを取り上げた。

 野村證券は、全国171拠点の社員が利用する約定データフォローシステムの基盤をIIJ GIOで構築した。野村證券のデータセンターとIIJ GIOを閉域網で接続し、IIJ GIOのシステムリソースに野村證券のプライベートIPアドレスを割り当てられるようにした。これにより、野村証券は約定データフォローシステムを外部環境にホストしながらも、自社ネットワーク上のシステムと連携して運用できるようになった。

野村證券の利用ケース

 アスマルは、ECサービスを短期間で立ち上げるためにIIJ GIOを利用した。特にタイムセール時では通常の3〜5倍のトラフィックが発生するため、必要に応じてシステムの規模を変更できる点がメリットになった。

 第一興商は、会員向けサービスの運用管理にSaaS型CRMの「INVITO」を利用。INVITOはSaaS型サービスながらもカスタマイズ性の高さが特徴だという。すべてのサービス基盤を独自に開発する場合に比べて、投資コストが3割ほど安価になった。

第一興商の利用ケース

 執行役員マーケティング本部長の松本光吉氏によれば、これらのユーザー企業ではシステム基盤にIIJ GIOを採用することで、システム構築の期間を大幅に短縮できるという。

 また、プラットフォームサービス部長の立井久正和氏は、野村證券のようにイントラネット環境で使われるようなシステムでもクラウドサービスでの運用を検討する企業が増えていると話す。月額課金という料金体系のため、ユーザー企業の利用期間が短いように想定されるが、実際には2〜3年以上の長期利用を前提にした利用が多い。

 IIJが導入する予定の新サービスは、Microsoft Windows Hyper-V 2.0に対応したオンラインコントロールサービスと、ホスティングパッケージサービスの2種類。6月までにリリースする。

 オンラインコントロールサービスは、MicrosoftのSystem Centerの機能をWeb上で提供するもの。IIJがMicrosoftの開発キットを利用して独自のWeb型インタフェースを開発した。ユーザーは仮想マシンの制御やスナップショットの取得、画面データの管理などができるようになる。

 ホスティングパッケージサービスは、Webサイトやメールの運用など数種類のメニューと設定済みシステムのパッケージを提供する。オプションでSSL証明書発行やVLAN、NASの構築などにも対応する。

ホスティングパッケージサービスの概要(予定)

 利用申し込みは専用サイトで受け付ける予定。例えばLinuxベースのサーバを利用したい場合は設定から利用開始まで15分程度、ApacheによるWebサーバを冗長構成で利用したい場合は1時間程度で利用できるようになるという。

 このほか外部のクラウドサービスとの連携など、今夏にかけて幾つかの新サービスを投入する計画だとしている。

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