複雑化する企業セキュリティへの対応強化で顧客増を狙う、ソフォスの新事業戦略

ソフォスは、セキュリティ製品の機能強化や顧客獲得に向けた事業戦略を発表した。

» 2010年05月25日 17時50分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 セキュリティ企業のソフォスは5月25日、2011年に向けた事業戦略および企業向けセキュリティ対策製品の最新版「Endpoint Security and Data Protection 9.5」を発表した。

堀氏 事業説明を行う堀昭一社長

 事業戦略では、官公庁および企業の新規顧客の獲得、既存顧客の契約更新率の向上を目標に掲げる。既に営業およびマーケティング、技術サポートの体制拡大に着手し、IT業界で十数年以上のキャリアを有する人材の獲得を進めているほか、パートナー企業と大型案件の獲得に向けた活動を推進する。顧客獲得に向け、7月にMicrosoftのサポートが終了するWindows 2000への対応継続や、エンドポイント向け統合セキュリティ対策製品の導入メリットを訴求していくという。

 直近の事業動向について堀昭一社長は、1組織で4万台以上のエンドポイント端末に同社製品が導入されたケースや、ある官公庁への導入案件で4億円超の売り上げを計上したケースを紹介。また2012年7月までのWindows 2000の対応を表明したことで、セキュリティ対策製品を同社へ切り替える官公庁や一般企業が急増したという。これにより、国内での業績は前年に比べて124%増加した(非上場のため金額は非公開)。

 堀氏は、「エンドポイント向け製品ではマルウェア対策とデータ漏えい対策を1つの製品で実現できるという特徴が顧客から評価された。また、25種類のOSをサポートしていることで、複雑なプラットフォーム環境でのセキュリティ対策に悩む官公庁や企業の顧客を数多く獲得できた」と述べた。

 同社の顧客構成は官公庁が50%、一般企業が40%、教育機関が10%。契約更新率は90%という。堀氏は、「顧客の全体数を増やしつつ、特に一般企業の構成比を高めたい。更新率も90%以上に引き上げていく」と具体的な目標を表明した。

新製品はリアルタイム保護を強化

 Endpoint Security and Data Protectionは、マルウェア対策、クライアントファイアウォール、周辺機器/ソフトウェアの利用制限、ネットワーク検疫、データ暗号化の機能を統合したもの。最新版は、ユーザーがWebサイトにアクセスしたり、ファイルをダウンロードしたりする際に、ソフォスのデータセンターに安全性を照会する「Live Malware/Web Protection」機能を搭載した。6月14日から出荷する。

 新機能は、ほかのウイルス対策ベンダーも導入を進めているクラウド型のセキュリティ対策機能。定義ファイルが開発されていない出現したばかりのマルウェアや悪質なWebサイトに関する情報をデータセンターに照会することで、新たな脅威へ迅速に対応するのが狙いとなる。

Web保護マルウェア対策 Live Malware/Web Protectionの機能概要。左はWebセキュリティ

 堀氏は、「企業の外で仕事をする従業員(モバイルワーカー)が増え、企業のセキュリティ対策が十分に行き届かない環境でインターネットに接続するケースも多い。新機能はこの課題を解決する」と特徴を説明した。

 また、今後の製品開発の計画も明らかにした。Endpoint Security and Data Protectionは、2011年にかけて管理コンソールの一元化や外部記録媒体の暗号化、パフォーマンスの改善を進める。また、Mac向けウイルス対策製品では2012年5月までにWindows版製品と同等の機能を追加する。Linux向けウイルス対策製品では、振る舞い検出機能を搭載するなどウイルス検出機能を強化する。

 これらの施策により、同社は2011年に売り上げの2けた増を狙うとしている。

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