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» 2010年09月21日 08時12分 UPDATE

Weekly Memo:IBMとHPを追撃、富士通のグローバルパートナー戦略

富士通がグローバルでのクラウドサービス事業拡大に向け、パートナー戦略を積極的に推し進めている。果たしてIBMやHPを追撃することができるか。

[松岡功,ITmedia]

富士通とCA Technologiesが戦略的協業

 富士通と米CA Technologies(以下CA)が9月16日、クラウドコンピューティング時代をにらんだ運用管理分野で戦略的協業を推進することで合意したと発表した。両社の持つソフトウェア製品を相互に補完したり、組み合わせたりすることで、クラウドで主流となり得るマルチベンダー環境のICTシステムの運用管理を強化していく構えだ。

 その第1弾として、両社の間で相互製品のOEM契約を締結。富士通はCAのアプリケーション性能管理ソフトウェア「CA Application Performance Management(CA APM)」を、同日より日本市場で販売開始した。また、CA APMと富士通の運用管理ソフトウェア「Systemwalker」の組み合わせで、SOA(サービス指向アーキテクチャ)ソフトウェア「Interstage」や他社のSOA環境上で構築されたアプリケーションの管理も強化するという。

 CA APMは、アプリケーションを利用するエンドユーザーの視点でアプリケーション処理性能を見える化することで、ユーザーの満足度維持と業務サービスの安定提供の両立を支援するソフトウェアである。エンドユーザーレスポンス、Webアプリケーションのオンライントランザクション、業務アプリケーション内の処理性能のボトルネックなどを可視化できるという。

 一方、CAは富士通の業務プロセス監視・分析ソフトウェア「Interstage Business Process Manager Analytics」を、「CA Business Process Manager Analytics(CA BPPA)」ブランドとしてグローバルに展開する。CA BPPAにより、業務プロセスの見える化やプロアクティブなSLA(サービス品質保証契約)管理を実現し、ビジネスに影響のある問題をすぐに解決することで、高品質なサービスを継続的に提供できるとしている。

 さらにCA APMとCA BPPA(Interstage Business Process Manager Analytics)を組み合わせることで、ユーザーはさまざまな環境において、業務プロセス、アプリケーショントランザクション、ICTインフラレスポンスなどをリアルタイムに分析できるようになるという。

 富士通とCAは、1996年にCAが運用管理ソフト「CA Unicenter」を富士通のUNIX機「DS/90」向けに提供して以来の協業関係にある。発表会見に臨んだ富士通の新田将人ミドルウェア事業本部長は今回の戦略的協業の主旨について、「グローバルで競争力のある富士通のSOA技術と、グローバル市場で最も実績のあるCAの運用管理技術を合わせて、グローバルサービス事業を支えていくこと」にあると語った。

試されるグローバル企業としての本領

 富士通とCAの戦略的協業に関するさらに詳細な内容は、すでに報道されているので関連記事等を参照いただくとして、ここからは今回のCAとの関係も含めて、グローバルでのクラウドサービス事業拡大に向けた最近の富士通のパートナー戦略に注目してみたい。

 富士通はクラウド時代の新しいビジネスモデルとして、競争力のあるプロダクトとテクノロジーを垂直統合し、サービスとしてグローバルに展開していくことを明言している。すなわち、垂直統合モデルである。

 このモデルはサービスを支えるプロダクトとテクノロジーを自前でそろえるという意味合いが強い。ところが富士通は、プロダクトとテクノロジーにおいて、グローバルなパートナーシップを強化することも強く打ち出している。

 富士通がこの1年あまりの間に、クラウドサービス事業拡大に向けて協業を図ったグローバルパートナーは、メジャーなITベンダーだけでも10社に上る。

 SaaS分野では、独SAPと情報分析SaaSを共同提供、米Salesforce.comとCRMを中心にグローバル協業。PaaS分野では、米Microsoftとミドルウェアでの戦略協業、米Symantecとグローバル戦略パートナーシップ、米BMC Softwareとサーバ運用自動化ソフトウェアで協業、今回のCAとの戦略的協業もここに入る。

 そしてIaaS分野を中心に、米VMwareとサーバ仮想化技術で協業、米Oracleと次世代型ITインフラ共同推進およびUNIXサーバ「SPARC Enterprise」性能強化、米NetAppとグローバルパートナーシップ拡大、米Cisco Systemsとユニファイドコミュニケーションで協業、といった具合だ。

 富士通の山本正已社長は7月9日に行った経営方針説明会で、こうしたグローバルなパートナーシップの強化についてこう語っていた。

 「グローバルサービスを提供し続けるためには、富士通1社の既存リソースだけではまかなえない。有力なグローバルパートナーとの協業は、そうした提供力を強化し、富士通に足りない部分を補完するための必須条件だ。今後もグローバルなパートナーシップは一層強化していく」

 富士通がこうしたグローバルパートナー戦略をもって挑むのは、企業向けクラウドサービス分野で最大のライバルとなる米国のIBMやHewlett-Packard(HP)を追撃することだ。そのために、垂直統合モデルとグローバルパートナー戦略をどうマネジメントし、相乗効果を生み出していくことができるか。グローバル企業としての本領が試されることになりそうだ。

戦略的協業の発表会見を行った富士通の新田将人ミドルウェア事業本部長(左)とCA Technologies日本法人のバスター・ブラウン社長 戦略的協業の発表会見を行った富士通の新田将人ミドルウェア事業本部長(左)とCA Technologies日本法人のバスター・ブラウン社長

プロフィール 松岡功(まつおか・いさお)

松岡功

ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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