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» 2011年02月18日 08時00分 UPDATE

大競争時代を勝ち抜くワークスタイル:ビジネスコミュニケーション進化論(後編) (1/3)

グローバル競争の時代を勝ち抜くには、コミュニケーションの活用が不可欠とされます。コミュニケーションツールをどのように活用すれば高い生産性を獲得できるのでしょうか。その具体例を踏まえながら解説します。

[米野宏明,日本マイクロソフト]

リアルタイムコミュニケーションの重要性

 これからの時代はとりわけ、人と人とのリアルタイムなコミュニケーションが大変重要になります。電子メールだけでは十分なコミュニケーションをとることができません。ポータルのような、インフラを使った一定の場所に集めた情報を共有する方法でも不十分です。これらの方法では、十分なビジネスのスピードが出せないばかりか、効果的な知識共有にも難があります。その理由は情報が持つ性質にあります。

 数年前、ナレッジマネジメントがブームになったことを記憶している人も多いと思います。ナレッジマネジメントとは、人の頭の中にある知識を文書のような形で形式化して、それを伝え、理解する場を与えることで、新しい知識として他人の頭の中に埋め込んでいくというプロセスです。多くの人が納得したコンセプトでしたが、一方で多くの失敗例も生み出しました。それには大きく2つの理由があると考えられます。

bizcomm02-1.jpg ナレッジマネジメントのSECIモデル(出典:知識創造企業 1996)

 ナレッジマネジメントは、そのフレームワークで示されているように、人に伝達できる情報は言葉や文書によって形式化されたものであり、頭の中の知識を直接伝達することはできません。人と人のコミュニケーションは、何らかの言語を介する必要があります。言語は何らかの行動や現象を示すために符号化されたモデルであり、モデルである以上、凡化され、一定のノイズが落とされています。それが万人向けであればあるほど、凡化の程度は大きくなります。つまり、組織全体での共有を目的として、人の知識を全て形式化することは本質的に困難なのです。これが文書のような一方通行の情報伝達であれば、もはや不可能だと言っても過言ではありません。

 しかし、ナレッジマネジメントシステムと呼ばれたものの中には、ナレッジマネジメントのフレームワークに沿って再編されてはいるものの、ファイル管理システムの延長上にあるようなツールであったため、形式化の作業を人の努力に依存していました。形式化するというステップがフレームワークのスタートラインであり、ここがうまくいかなければ全体が失敗します。これが1つ目の理由です。

 2つ目の理由は、形式化された情報を正しく理解するために、形式化した人間の文脈を理解する必要がある点です。これは1つ目の理由の裏返しでもありますが、形式化された情報を見た人が、自分の知識としてそれを内面化するには、形式化された情報の裏に隠れているノイズまでも正しく理解する必要があります。職人の世界で師匠が弟子に対して、「技を盗め」という姿勢で臨むのも、言葉で伝えることは難しいため、同じ経験を積むことによって文脈を理解させようとする行為と言えるでしょう。ナレッジマネジメントでは「共同化」と呼ばれる対面式のプロセスでそれを実現しようとしました。しかし、多くの日本企業では他部門との風通しの良い共同化の場を作るのは簡単ではなかったようです。

bizcomm02-2.jpg 形式知は経験や文脈によって解釈が異なる

 電子メールにしろ、ポータルにしろ、文字情報への変換が必須である以上は、1つ目の問題を超えられません。また以前と違って、遠く離れた多種多様な相手とのコミュニケーションが求められる環境では、2つ目の問題――経験の共有――が大きな壁になります。それを文字情報だけでカバーすることなど不可能です。したがって、音声や映像などのリアルタイムなコミュニケーション手段で、不足する情報を埋めなければなりません。「技を盗む」ことができるような作業環境の共有も必要でしょう。

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