NTTコミュニケーションズは、FacebookやTwitterからマーケティングに関わる情報を収集し、顧客との対話や分析な可能なCRMツール「CoTweet」の国内提供を開始する。
NTTコミュニケーションズは2月24日、企業向けソーシャルCRMツール「CoTweet」日本語版の提供を3月1日に開始すると発表した。開始後1年で70社の利用を見込む。
CoTweetは、FacebookやTwitter上に投稿された企業や商品、ブランドなどに関する情報の収集・管理、投稿者に対する返信、フォロワー数やFacebookページの登録者などの統計分析ができるツール。機能を制限した無償の「Standard」と有償の「Enterprise」がある。2万社以上が利用し、日系企業の海外法人でもトヨタやホンダなどが利用しているという。
NTTコミュニケーションズが提供するのは、Enterpriseの日本語版と初期導入支援サービスの2つ。価格は、Enterprise日本語版の5クレジット(ユーザー数とFacebookページ数、Twitterアカウント数の合算)が月額6万3000円から、15クレジットが同15万7500円から、初期導入支援サービスが26万2500円からとなる。
同ツールを手掛ける米CoTweetは、2010年3月に買収でExactTargetの傘下となった。同年10月にExactTargetとNTTコミュニケーションズがCoTweetに関する国内事業で業務提携を行った。
CoTweetのジェシー・アングルCEOによると、米国では多数の企業がソーシャルメディアマーケティングの専門チームを組織し、ソーシャルCRMツールを利用して顧客との関係強化に取り組んでいるという。ソーシャルメディアに投稿される情報の20%は、企業のブランドなどに関するものとされる。企業にとって都合の良いものからクレームなど不都合なものまで、あらゆる情報が急速に拡大してしまう特性があり、専門的に対処する必要性が高まっている。
例えば、米国では何者かがトヨタをかたって社会的な影響力を持つブロガーに接近し、「謝礼を渡すから好意的なエントリーを投稿してほしい」と持ちかけるという出来事があった。この行為がブロガーの反感を買い、トヨタを非難する投稿がインターネット上で相次ぐようになったという。トヨタは当事者ではないが、信用低下を回避するためにツールを活用してソーシャルメディア上で積極的な情報発信と顧客との対話を図り、事態の収拾に成功したという。
アングル氏は、「今は一人ひとりの顧客が巨大なメガホンを持つような時代だ。企業には透明性の高い情報発信と顧客との真剣な対話が求められている」と話している。
NTTコミュニケーションズ 経営企画部 マーケティング・ソリューション室の塚本良江室長は、国内でもFacebookやTwitterのユーザー数が急増している実態があり、企業のマーケティングにとってもはや無視できない存在だと指摘する。また、海外では国内以上にFacebookやTwitterの普及率が高いとされ、グローバル展開する企業では海外市場でどのようにソーシャルメディアマーケティングを行うかという課題を抱えるところが少なくない。
NTTレゾナントとループス・コミュニケーションズが2010年7月と11月に実施した共同調査の比較によって、ソーシャルメディアマーケティングの担当者を増員する企業の実態が浮き彫りになった。それによれば、1人体制とする企業が7.7ポイント減少した。しかし、2〜3人体制にした企業が7.8ポイント、4〜5人体制とした企業が1.8ポイントそれぞれ増加した。
こうした状況に塚本氏は、「ソーシャルメディアマーケティングはまだ夜明けといえる状況だが、顧客との直接的な対話は企業の将来にとって非常に重要なものになる」と話している。
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