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» 2011年05月02日 11時30分 UPDATE

バリュープロポジション戦略 50の作法:顧客の向こう側にいる、真のユーザーは見えているのか?

顧客とユーザーは必ずしも同じではない。商品を実際に使う真のユーザーは誰で、どのように商品を使い、それに対して本当に満足しているのだろうか。

[永井孝尚,ITmedia]

連載「バリュープロポジション戦略 50の作法」について

 本当の顧客中心主義満足とは何か?――。連載「バリュープロポジション戦略 50の作法」は、欧米発のバリュープロポジションというフレームワークをベースに、日本が昔から持っていた顧客本位の考え方を見直し、マーケティング戦略を構築・推進するための50の作法をまとめた書籍『バリュープロポジション戦略 50の作法』の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。


 よく「顧客満足=ユーザー満足」とされることがありますが、顧客とユーザーは必ずしも同じではありません。例えば、予備校にとって、顧客はお金を出す保護者で、ユーザーは生徒です。顧客とユーザーの関係は、どのように考えるべきなのでしょうか?

 「気くばりミラー」で圧倒的な国内シェアを誇り、顧客からも高く評価されているコミー社長の小宮山栄さんは『日経トップリーダー』2009年8月号「社員14人の世界企業コミー――信用が信用を生む、小さな市場の生存戦略」で次のように語っています

 企業はCS(顧客満足)を追求すべきだと言われる。だがそれだけではうちはつぶれていただろう。

 ある日、都内の大手書店からコミーに「防犯ミラーを提案してほしい」との依頼がありました。これまでコミーが営業活動を続けても、社長判断で防犯ミラーは使わないと断られていた書店でした。

 社長の判断が変わったのは、防犯を依頼している保安会社から、「店内にどうしてもコミーのミラーが必要だ」と要望があったためでした。保安会社の保安員は、私服姿で一般客のように店内を巡回し、万引を捕まえるプロ。保安員に会い、コミーは万引防止に取り組む現場の実情を初めて知ることができました。

 万引はあくまで現行犯逮捕が原則。そして保安員が一番恐れるのは誤認。一瞬でも見落としがあれば尾行をやめざるを得ませんでした。見落としを防ぐために、保安員にとって、防犯ミラーはまさに必需品だったのです。また、保安員はメーカーであるコミーも知らなかったミラーの特性を熟知し、活用していました。

 ミラーの設置目的が万引防止にあるのであれば、万引犯を捕まえる保安員が真のユーザーでした。

 小宮山さんは次のように語っています。

 役に立つ商品を出し続けるためには、商品を買ってくれる顧客よりも、商品を実際に使う本当のユーザーの声に耳を澄まさなければいけない。だから当社はCSではなくUS(ユーザー満足)を追究してきた

 商品を買う顧客と、本当のユーザーは必ずしも同じではありません。そして、企業は必ずしも本当のユーザーのニーズを理解しているとは限りません。この2点を理解することが企業には求められるのです。

※本書に掲載された内容は筆者である永井孝尚個人の見解であり、必ずしも筆者の勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。

バリュープロポジション戦略 50の作法

バリュープロポジション戦略 50の作法

バリュープロポジション戦略 50の作法

著:永井孝尚

オルタナティブ出版

2011年3月30日

1260円(税込み)

マーケティング戦略を構築・推進するための50の作法を、バリュープロポジションという切り口で、さまざまなマーケティング理論を網羅しつつ、日本の事例を中心にまとめた、マーケティング担当者必読の書。


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