SAS、分析プラットフォームの最新版「SAS 9.3」をリリース

SAS 9.3では、ビッグデータ(多種・大量のデータ)分析への対応やパフォーマンスの向上を図っている。

» 2011年09月14日 18時11分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 SAS Institute Japanは9月14日、データ分析プラットフォーム製品群の最新版「SAS 9.3」を発表した。主要製品は1日から提供済みで、一部製品は年末までに提供を開始する。「ビッグデータ」と呼ばれる多種類かつ大量のデータの分析への対応強化とパフォーマンスの向上を図った。

 SAS 9.3では主にデータ管理と分析、レポートの部分に関する製品での多数の機能拡張が行われた。データ管理ではEMCのGreenplumやSAPのSybase IQなどのデータベース製品に新たに対応したほか、Oracleのバルクテーブルローダー機能をサポートし、処理を高速化させている。

 分析では出力形式にHTMLを追加してグラフィカルな分析結果を表示できるようにした。ソーシャルメディア対応も図り、メッセージなどの非構造化データの分析を可能にしている。レポートではiOSやAndroid搭載端末でレポートを参照できる「SAS Mobile」、ExcelやWord上でSASのプログラムを実行できる「SAS Add-In for Microsoft Office 5.1」などを年末までに提供する予定。

 また、ビッグデータを短時間で処理することを目的にした「SAS In-Memory Analytics」も年末までに提供する。SAS In-Memory Analyticsはインメモリ技術を利用して、SMPやMPP(超並列処理)の分散処理環境でデータ加工や分析を可能にする。データベース上でこれらの処理を行う従来の「SAS In-Database」に比べ、SAS In-Memory Analyticsでは大幅なパフォーマンスの向上が見込まれるとしている。

 同社では約60人の専任のコンサルティングチームが中心となり、既存ユーザーでのアップデートや新規ユーザーに対する導入支援のサービスも提供していくという。

 SAS 9.3を先行導入した米国の小売チェーンでは、約3万点の商材の適正価格分析に活用しているという。この企業では約2000店舗を展開しており、分析対象の商材は全体で6000万点になる。従来はこの分析に15時間を費やしていたが、20分程度に短縮され、毎週の分析が可能になった。特に季節商材などの販売促進で効果を挙げているという。別の金融企業ではローン審査における債務不履行の可能性を分析する業務に活用。約40万件のデータの分析時間を3時間から10分に短縮した。

 ビジネス開発本部とプロフェッショナルサービス本部の本部長を務める宮田靖氏は、「ビッグデータが企業のビジネスに価値をもたらすと注目を集めるが、データを分析できなければ価値を引き出せない。新製品はこれを可能にすること目指した」と意気込みを語った。

SAS In-Memory Analyticsの概要

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