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» 2011年12月15日 08時00分 UPDATE

郊外型データセンターの最前線:沖縄・宜野座村にみるデータセンターと災害対策 (1/2)

東日本大震災とその後の電力不足を契機にデータセンター(DC)を郊外に移設すべきかが関心事となっている。こうしたニーズを受け入れるDC側の取り組みはどのようなものか――沖縄県宜野座村を訪ねた。

[國谷武史,ITmedia]

 3月の東日本大震災や夏場の電力不足をきっかけに、数多くの企業や行政機関、組織が災害に強い情報システムのあり方に関心を寄せている。その方策の1つとして注目を集めるのがデータセンター(DC)の郊外展開だ。リスクが集中する都市部ではなく地方にバックアップ用サイトを確保することで、万が一の場合でも、情報システムの運用を継続できるメリットがあるとされる。

 こうしたニーズを受け入れる地方のDCではどのような取り組みが進められているのか――。このほど沖縄県宜野座村が主催した「宜野座村ITオペレーションパーク」の見学会に同行し、宜野座村における取り組みを取材した。

国内初の本格的な公設DC

 宜野座村は沖縄本島中部に位置し、那覇市中心部とは沖縄自動車道を経由して車で約40分という距離にある。阪神タイガースの春季キャンプ地としておなじみの土地だ。人口は約5500人で農業や観光が盛んだが、2002年に那覇市や浦添市、名護市とともに「情報通信産業特別地区」の指定を受け、県内有数のIT拠点となった。

ginozaidc01.jpg 宜野座村ITオペレーションパークの全景

 この年の3月に開業した宜野座村ITオペレーションパークは、DC(宜野座村IDC)とコールセンター設備を持つ複合型施設で、宜野座村IDCは国内初の本格的な公設民営型のDC。NTT西日本子会社のNTT西日本-九州とITサービス企業のレキサス(沖縄県うるま市)が、24時間体制で宜野座村IDCを運用する。

 建屋は40基の積層ゴムアイソレーターと鉛ダンパーによる免震構造を採用し、阪神・淡路大震災を想定した震度7クラスの地震に耐える設計だという。地盤高は海面から22メートルほどで、津波による浸水被害を受けにくいとしている。電力は沖縄電力から6万6000ボルトで受電。受変電設備の能力は3800KvAで、停電時に40秒程度稼働できる1600KvAのUPS(無停止電源装置)を介してサーバルームに供給される。また、非常用の自家発電設備として72時間の連続稼働が可能なガスタービン発電機(2000KvA)を2基備える。

 竣工から10年近くが経過する宜野座村IDCだが、災害対策は当時としては最新鋭のものが採用され、現在でもDCに求められる災害対策のレベルを十分に満たすものとされる。沖縄県では1926年以降に震度5以上が観測されたのは1回(2010年2月)であり、NTT西日本-九州によれば、宜野座村IDCの周囲には活断層が少なく、全国的にみても地震による揺れが小さい強固な地質構造であることから、地震のリスクは小さいという。沖縄県は「台風銀座」とも称されるが、これまで宜野座村IDCで台風による停電が発生したことはなく、本島全体でも3日間以上にわたって停電が続いたことはないという。

ginozaidc02.jpgginozaidc03.jpg 宜野座村ITオペレーションパークの外観。2002年に稼働した「宜野座村サーバファーム」と2009年に稼働した「宜野座村第2サーバファーム」の2つの建物あり、宜野座村IDCは宜野座村サーバファームに設置されている
ginozaidc041.jpgginozaidc051.jpg 地震の少ない沖縄だか、震度7クラスの地震から建屋を守る免震装置を備える(左)。マシンルームも複数の物理的なセキュリティ対策で厳重に守られている。ITパークからマシンルームに至るまでもユーザーの要望に応じて多段階のセキュリティ対策を講じることができるという

 宜野座村IDCは外部と複数のギガビットネットワークで接続され、県が提供する「沖縄県情報産業ハイウェイ」も低いコストで利用できる。2社によると、ユーザーは民間企業や自治体、行政機関などだが、半数以上は県外の組織だという。

 当初はバックアップサイトとしての利用が中心で、近年は本番サイトを運用するケースも増えてきたが、東日本大震災以降は再び「サーバを移設したいが、運用体制はどうか」といった県外からの問い合わせが急増しているとのこと。宜野座村IDCには現在ラック450本ほど(約1550平方メートル)の空きスペースがある。2012年春以降、災害対策や事業継続計画の一環で同地に進出する企業や組織がさらに増加するとみられている。

 宜野座村は、災害対策や事業継続性の強化を目指す企業や組織への支援を通じて、地域新興にも取り組む。企画課主任の金武誠氏は、「“仕事”“くつろぎ”“住む”の3つのキーワードを掲げ、宜野座村ITオペレーションパークで快適に働いてもらえるよう地域一体で盛り上げてきた」と話す。

 村内には3つの認可保育所や幼稚園、小学校、中学校、高校、また地域の中核病院や阪神タイガースのキャンプでも使用される村営球場やドームグラウンド、国際交流施設などがあり、子育て世代でも安心して暮らせる環境となっている。宜野座村ITオペレーションパークには、自動車通勤者に考慮して750台分の駐車スペースがあり、カフェテリアやバーベキューも可能なテラスを備えるなど、就業者が仕事の合間にくつろいだり、他社の社員と交流したりできる機会も設けている。

ginozaidc06.jpgginozaidc07.jpg 玄関にある壮大なモニュメント(左)。2階にあるカフェテリアからは太平洋を一望できる(右)

 こうした取り組みで、宜野座村ITオペレーションパークのコールセンターにはオリックスのグループ会社や日本IBMなど多数の企業が進出している。村内在住だけでなく、本島各地からやUターン・Iターンによる就業者も多いという。

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