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» 2012年09月24日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:IBMが説くソーシャルビジネス

日本IBMが先週、ソーシャルビジネスについて記者説明会を開いた。エンタープライズITベンダーであるIBMが説くソーシャルビジネスとは、どのようなものか。

[松岡功,ITmedia]

TwitterやFacebookの活用だけにあらず

 TwitterやFacebookに代表されるソーシャルメディアの普及に伴い、企業でもソーシャルネットワーク技術を活用して競争力を強化しようという動きが出てきている。これを「ソーシャルビジネス」というらしい。

 まず言葉の定義から入って恐縮だが、抽象的な表現ながらも大きな意味では間違っていないと思う。実は、呑み込みの悪い筆者にとってソーシャルビジネスという言葉は、どうもピンと来なかった。とくにエンタープライズITベンダーが提案するソーシャルビジネスとは、どこまでの範ちゅうのことを言うのか、頭の中がぼやけたままだった。

 そんな折り、エンタープライズITベンダーの代表格であるIBMが、ソーシャルビジネスについて記者説明会を開くというので、話を聞きに行った。

 記者説明会に臨む日本IBMソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン専務執行役員 記者説明会に臨む日本IBMソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン専務執行役員

 日本IBMが9月20日に開いた説明会で、同社ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン専務執行役員は、IBMが提案するソーシャルビジネスについてこう語った。

 「ソーシャルビジネスとは、単にFacebookページやTwitterアカウントを活用して業務を行うことではない。ソーシャルネットワーク技術を活用することで、基本的なコミュニケーションの実現だけでなく、コマースやアナリティクスなども駆使してビジネスの競争力を高めることが最大の目的だ。そのためのトータルソリューションを提案していくのが当社の役目だ」

 IBMではこのソーシャルビジネスの基盤となるソリューションを「エンタープライズソーシャルウェア」と呼ぶ。同社の説明によると、エンタープライズソーシャルウェアの内部には、個人プロフィールから専門知識、業務の履歴、作成した資料、コミュニケーション頻度、周りからの評価や共感、参加コミュニティの種類、社内人脈まで、社員一人ひとりの詳細な情報が蓄積される。

 エンタープライズソーシャルウェアの特徴は、これらの情報を有機的に紐付けてソーシャルグラフをつくり、各自の能力や組織への適性、評価などを可視化できることにある。さらにエンタープライズソーシャルウェアは、そうしたコミュニケーションおよびコラボレーションの機能だけでなく、経営革新のツールとして価値を発揮する。

IBMが語るソーシャルビジネスの価値

 どんな価値か。エンタープライズソーシャルウェア内に蓄積された情報と、SFAやCRM、HRM、ERPなどの業務システムの情報を連動させ、高度な分析アルゴリズムを駆使すれば、プロジェクトにおいて誰がどのような役割を果たしたのか、どの資料が有効だったのか、メンバーから評価された提案は何なのか、収益への貢献度はどの程度か、といったビジネスの成功要因を見極める実効性の高い情報を入手できるという。

 また、リコメンデーション機能を連動させれば、プロジェクトに応じて最適な人材を自動的にアサインしたり、最適な資料を抽出し必要なメンバーに勧めるといったソリューションが可能になり、これらによって経営戦略に基づいた最適なプロジェクトチームのアサインや人材配置を容易に実現できるようになるとしている。

 そして、基盤を形成する重要なポイントとして、さまざまな業務システムやクラウド環境、モバイル機器と連携が図れ、それらのプラットフォームやテクノロジーの壁を越えたオープンアーキテクチャがベースになっていることを挙げている。

 説明が少々長くなったが、これでIBMが提案するソーシャルビジネスの勘所をつかんでいただけたのではないだろうか。印象としては、組織と社員の活性化に重点が置かれているように見受けられるが、SFAやCRMと連動させれば、マーケティングツールになるのも容易に想像がつく。

 IBMはこのエンタープライズソーシャルウェアの中核となるコラボレーションソフト「IBM Connections」の最新版をこのほど提供開始した。最新版ではソーシャルネットワーク技術を一層取り込んだほか、TwitterやFacebookなど外部の情報を迅速かつセキュアに社内で共有する機能も強化したという。

 ちなみにIBMが提案するソーシャルビジネス向けツールには、グループウェアソフトとして長年の実績を誇る「Notes」も入っており、同ソフトのユーザーをソーシャルビジネスに誘導したいとの思惑もあるようだ。また、同社は社内SNSとして「IBM SmarterCloud for Social Business」をサービス展開しているが、他の社内SNSともオープンに連携していく構えだ。

 折しも先週、ソーシャルビジネス分野ではIBMの競合となりうる米Salesforce.comが米サンフランシスコで開催したプライベートイベント「Dreamforce 2012」で、同社のマーク・ベニオフCEOが「ソーシャル革命」をぶち上げ、ソーシャルビジネス向けのクラウドサービスを大幅に拡充することを発表した。さらに、SAPやOracleなどのエンタープライズITベンダーもこの分野には一層注力してくるだろう。日本の富士通やNECなども黙っていないはずだ。

 ただ、マハジャン氏は説明会の最後にこう語った。

 「ソーシャルのビジネス活用法は、これからもっと広がっていくだろう。われわれはソーシャルの新しい使い方を顧客から逆に学んでいく必要がある」

 活用のアイデアやノウハウの蓄積も問われるソーシャルビジネスは、どうやらユーザーにとってもベンダーにとっても、生き残りをかけた非常に重要な取り組みになりそうだ。

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