日本IBMはSNS機能を統合した企業内ポータルの新製品を発表。導入コストが従来の半分という“手軽さ”で採用拡大を狙う。
日本IBMは5月14日、企業内ポータル機能を提供するソフトウェア新製品「IBM Intranet Experience Suite V8.0」を発売した。SNS機能や簡易データ分析機能などを盛り込んだパッケージで、導入価格が従来の半分程度という特徴を打ち出した。
新製品は社内イントラ上での情報共有化を支援するもので、社員が自身のスキルや業務実績などのプロフィールを社内向けに公開したり、短いメッセージを投稿したりできる機能を持つ。最小構成での価格は1936万9000円で、ユーザー数3000人程度の企業なら同製品が持つ機能を個別の製品を組み合わせて構築した場合に比べ、45%ほど安価になるという。ユーザー数1000人以上の中〜大規模オフィスでの利用を見込んでいる。
提供の狙いについて専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏は、「当社が世界のCIOに実施した調査で、55%がコラボレーションやSNSへの投資強化を計画していると答えた。オンラインを介して社内人材の交流を図ることで生産性の向上や業務効率の改善につなげたいという希望が強まっている」と説明する。
同社は、企業向けポータルとしては「IBM Connections」などの製品を既に展開中だが、今回の製品はIBM Connectionsの一部機能をベースに、オンライン上での話題の傾向を把握するといった情報分析などの機能を一つにしたものとなる。
理事 Lotus事業部長の三浦美穂氏は、「“今さら社内ポータルなのか”と思う企業の担当者がいるかもしれないが、2年後には世界のビジネスワーカーの半分が1980年代以降に生まれた世代になるといわれる。デジタルを駆使してどんな場所でも仕事をしていける若い世代が当たり前になるので、人材を活用のための基盤整備が急務になった」と述べている。
IBM Connectionsをはじめとするポータル製品は、IBM社内でソーシャル文化の醸成していくために取り組んだノウハウを“凝縮”しているという。また営業系や生産系、人事系、サプライチェーン系など多くの種類の業務システムとも連携できる点が強みだとしている。
同社は、4日にも企業のWebサイトにSNS機能などを実装してサイト訪問者に“付加価値の高い体験”を提供するためのソフトウェア製品「IBM Customer Experience Suite V8.0」を発売した。コミュニティー機能やリアルタイムチャット、リッチコンテンツの提供などを通じてサイト訪問者を顧客に変えていくためのコミュニケーションを実現できるという。
これら製品はオンプレミスでの運用に対応したものだが、同社ではクラウドサービスとしても利用できるようにすることを検討中だ。
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