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» 2012年10月04日 20時28分 公開

Gartner Symposium Report:201x年に情報システム部門はどうするべきか?

IT業界のトレンドが将来のIT部門にどのような変化をもたらすのか、その時にIT部門はどうあるべきか――米Gartnerが最新の見解を明らかにしている。

[國谷武史,ITmedia]

 米Gartnerによる年次カンファレンス「Gartner Symposium/ITxpo 2012」が10月3〜5日、都内で開催されている。同社リサーチ部門最高責任者でシニアバイスプレジデントのピーター・ソンダーガード氏、リサーチバイスプレジデント兼フェローのデイヴィッド・カーリー氏が会見し、IT業界のトレンドや数年先に予測される業界の変化などについて、同社の見解を説明した。

IT部門の予算が減っていく

ピーター・ソンダーガード氏

 ソンダーガード氏は、IT業界の最新トレンドについて「ソーシャル」「モバイル」「クラウド」「情報」の4つのキーワードで表現される潮流が結び付き、伝統的なITの世界を“破壊する”可能性を秘めた大きな潮流を生み出すとした。同社によれば、これらの潮流はIT市場で最も注目される状況にあるが、いったんは関心が停滞し、その後に本格的な普及へと至る。2017年以降のITの世界の新たな常識になるものだとしている。

 この間、企業の情報システム部門が受け持つIT予算は次第に減少し、2014年にはIT支出におけるCIOの影響力が25%失われる。2017年にはマーケティング部門が行使できるIT予算が情報システム部門を上回るようになる。

 同氏は業務部門におけるアナログからデジタルへの移行が進むと述べた。「医療で例えるなら、研究者は顕微鏡からスーパコンピュータを利用するようになる」とのことだ。

 ただ企業全体として使われるIT予算は増える見込みであり、特に業務部門が行使する予算が20〜50%増える。相対的に情報システム部門の予算が減っていく。この変化の一例として、日本ではビッグデータ関連の雇用が36万5000人分増える見込みだという。しかし、実際に雇用条件を満たせる人材は11万人程度しかいないとも指摘する。

 「ビッグデータは日本の経済成長の原動力にもなるはず。だが十分なデータ分析のスキルを持つ人材がいない。人材育成の仕組みも充足しているとは言い難い」(同氏)。

 ITを今以上に駆使するという業務部門は、ITをどれだけ意識するのか。

 「マーケティング部門はビッグデータ分析にHadoopが必要などと気にしないだろうし、気にもしたくない。売上あるいは顧客を増やすという目的があり、そのために必要な道具としてITを使う」

 こうしたトレンドがもたらす変化は、ベンダーの動きにも影響する。個人の可処分所得に占めるITの割合が増えているといい、20年前はわずか1%未満だったが、昨年は4%にまで増えた。このことはITのコストを大幅に押し下げる要因になり、ベンダーは新たなビジネスモデルにシフトせざるを得なくなる。

 ソンダーガード氏は、情報システム部門には近い将来に起こるであろう製品やサービス、市場、ユーザー(主に業務部門)の意識といった変化を適切に捉える視点が不可欠であり、自らの新しい役割がどうあるべきかを考えなければならないと指摘する。「マーケティング部門でのITの利用を管轄する権限はCIOのものではない。IT活用をリードできなければ、役割が減るだけだろう」述べている。

2013年の戦略的技術トレンドも同じ

 カーリー氏は、「2013年の戦略的テクノロジのトップ10」を紹介した。3年後の企業に重大な影響を与える可能性を持った技術トレンドを毎年取り上げているもので、最新の見解では以下の通りとなっている。

  1. モバイルデバイスの戦い
  2. モバイルアプリケーション & HTML5
  3. パーソナルクラウド
  4. インターネット オブ シングス(Internet of things)
  5. ハイブリッドIT & クラウドコンピューティング
  6. 戦略的ビッグデータ
  7. アクショナブルなアナリティクス
  8. メインストリーム・インメモリ・コンピューティング
  9. 統合されたエコシステム
  10. エンタープライズ向けアプリケーションストア

 同氏は、これらの技術がソンダーガード氏の挙げる4つのトレンドと同じように、これまでのITの常識を“破壊する”可能性を秘めたものと解説する。

デイヴィッド・カーリー氏

 例えば、Apple(iOS)とGoogle(Android)、Microsoft(Windows 8)による「モバイルデバイスの戦い」は、Windows PC一辺倒の企業のデスクトップをヘテロジニアス(異種混在)な世界に変える。アプリケーションはモバイルやWebを前提に、タッチ操作やマルチメディアを駆使した新たなユーザー体験を提供するインタフェースを備えることが必須になる。ユーザー個人の専用環境――パーソナルクラウドが重要であり、オンライン上のデータへアクセスするためのアプリケーションも重要になってくる。その意味でデバイスはあまり重要ではなくなる。

 企業のビジネスでみると、「Internet of things」として表現される状況、つまりは、社会のありとあらゆるものに意味付けがなされていくことが重要になるという。既にソーシャルメディアなどのユーザーのコメントといった多種・大量のデータをリアルタイムに幾つもの視点から分析し、ビジネス拡大につなげる知見を得ようとする動きが出始めている。

 「データ分析はビジネスプロセスに組み込まれ、2014年にはユーザー(業務部門)の役割になっていくだろう」(カーリー氏)。さらにこうした作業はわざわざ人手を介する必要もなくなっていくという。「IBMのWatsonやAppleのSiriがしているようなことが、自動的にバックエンドで実行される」

 トップ10の中でカーリー氏は、「エンタープライズ向けアプリケーションストア」については情報システム部門の役割が重要になるとした。

 「アプリストアのようなものは、企業ではガバナンスを考慮した形で提供されるべきであり、情報システム部門はユーザー(業務部門)に必要なアプリケーションを提供するブローカー(仲立人)となるだろう。アプリストアは次世代のイントラネットの役割も果たすので、そのコンロトールや管理は情報システム部門が担わなければならない」(カーリー氏)

 これらの技術トレンドはソンダーガード氏の挙げる4つの潮流のベースになるもので、これまでのITの常識を“破壊する”可能性を秘めたものだとしている。

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