「ビッグデータが価値を創造するプロセスで貢献したい」――NEC遠藤社長

NECの「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」が開幕。初日の講演では遠藤信博社長が、ビッグデータをテーマに同社の取り組みを語った。

» 2012年11月08日 19時46分 公開
[ITmedia]
遠藤信博社長

 NECの年次カンファレンス「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」が11月8日、東京・有楽町の国際フォーラムで開幕した。同日の講演には遠藤信博社長が登壇し、「人と地球にやさしい情報社会へ」というテーマで同社の取り組みを紹介した。

 冒頭で遠藤氏は、講演テーマの「情報社会」について、ICTの力で安心・安全で便利なサービスを誰もが享受できること、限りある資源を効率的に活用して持続的な発展を可能にすることと述べた。この「情報社会」を実現していく上では情報インフラの進化、情報のセキュリティ、情報による価値創造がキーワードになるとした。

 同氏がこう提起するのは、2050年に世界人口が90億人に達し、エネルギーや水、食糧の需要が現在の1.6〜1.8倍に高まること、それに伴って温室効果ガスの排出量も1.5倍に増えるとの予測があるからだという。この課題に対処するには、ICTの活用によって資源を効率的に利用していくことが重要だと提起した。

 ICTの活用は、多種・大量のビッグデータからいかにして価値を生み出していくかが肝心であり、遠藤氏は特に大量の表面的なデータだけでは見えない「暗黙知(Implicit)」のデータが鍵を握ると述べた。センサーネットワークやモバイル端末などから大量のデータを集め、その中に潜むImplicitのデータを見つけ出し、真の意味で必要とされる価値を生み出す。「このプロセスにおいてNECの強みで貢献していきたい」とした。

 ビッグデータを集める部分で同社は、機器や生物発する微弱な振動を検知する「高感度振動センサ」やスマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスなどを手掛ける。また収集段階でデータを保護するためにセンサに実装可能な暗号化技術「TWINE」も開発したと説明する。

 また、データ分析の部分ではデータの相関関係から異常を発見する「インバリアント分析」や、大量データ中の全く異なるパターンを抽出する「異種混合学習」、同社が以前から強みとする「顔画像解析」などの分析エンジン技術に強みがあるとした。講演前日にはこれらの分析エンジン技術を活用したビッグデータ分析のクラウドサービスも発表。これらの取り組みで「あらゆる分野で新たな価値を創出していく」と語った。

 一方、こうしたビッグデータを活用していく基盤でも同社は積極的に取り組みとし、その一例として「SDN(Software Defined Networking」技術を挙げる。SDNではソフトウェア技術によって利用目的に応じた最適なネットワークの設計や構築、運用を自動化する。この分野で同社は、世界初のProgrammable Flow製品を提供していると説明。Programmable Flowによるネットワーク仮想化をデータセンターに適用したことで、消費電力が80%削減され、障害発生におけるネットワーク切り替え時間やネットワーク構成の変更コスの大幅な短縮につながったとしている。

 遠藤氏は最後に、「あらゆる分野の顧客とともにビックデータを活用による新たな価値創出に取り組み、競争力のあるビジネスを構築していきたい」と締めくくった。「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2012」は9日まで開催されている。

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