高度化・巧妙化するセキュリティリスクに次なる一手を――McAfee首脳陣McAfee FOCUS JAPAN 2012 Report

マカフィーがユーザーカンファレンスの「McAfee FOCUS JAPAN 2012」を開催。サイバーセキュリティ分野における最新の取り組みを披露した。

» 2012年11月14日 20時28分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 マカフィーは11月14日、ユーザー向けの年次カンファレンス「McAfee FOCUS JAPAN 2012」を東京・大手町のパレスホテル東京で開催した。基調講演には同社首脳陣やインテルの吉田和正代表取締役社長らゲストスピーカーが登壇し、高度化、巧妙化が進むサイバー攻撃やセキュリティリスクへの対応について語った。

ジャン・クロード・ブロイド氏

 まず登壇したマカフィー 代表取締役社長のジャン・クロード・ブロイド氏は、昨今話題となった「遠隔操作ウイルス」事件やマルウェアによるネットバンキング詐欺、さらには、重要インフラに対するサイバー攻撃の拡大などを取り上げた。個人から企業、組織までがこうしたセキュリティリスクに晒されるようになり、サイバー攻撃は世界規模で展開される。同氏は「グローバル標準のセキュリティを実現していかなければならない」と提起した。

 サイバー攻撃が社会問題化し、官民を挙げ対策への取り組みも進む。しかしブロイド氏は、「英米に比べると日本は遅れている」とも指摘した。同氏によれば、米国のITセキュリティ分野における国家予算規模は年間約7500億円に上り、日本の5.4倍になる。「GDP(国内総生産)比でみても2倍の開きがある。米国には産業分野ごとにセキュリティの規制があり、これがベストプラクティスにもなっている。日本はセキュリティ分野に対する投資と環境整備をより進めるべき」とした。

 こうしたセキュリティリスクの現状を踏まえ、マカフィーは「Security Connected」というコンセプトを掲げる。各種のセキュリティ対策を統合的に機能させることでセキュリティリスクの全体像を可視化し、積極的な対応を取れるようにするものだという。具体的に同社は「Global Threat Intelligence(GTI)」という仕組みを構築。世界中に張り巡らしたセンサやユーザーからのフィードバック、セキュリティ機関で共有している情報などを全て集約し、専門家による分析を経て脅威情報としてデータベース化している。

 「日本でも警察庁がサイバー攻撃に関する情報の分析や蓄積への取り組みを推進している。こうした取り組みがさまざまな地域、場所に広がっていくことを期待したい」とブロイド氏。同社顧客に対しては、GTIとネットワークやエンドポイントにおける対策製品との連携を通じて最新の脅威から保護していく取り組みを、パートナーと協調しながら進めていくと表明した。

ブライアン・リード・バーニー氏

 ブロイド氏に続いて登壇した米McAfee 製品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのブライアン・リード・バーニー氏は、Intelとの協業や直近の製品戦略を紹介した。McAfeeは2010年に、Intelによる買収でIntelのソフトウェア&サービスグループに加わった。

 両社はハードウェアのチップセットにセキュリティソフトウェアを組み込む「ハードウェア支援型セキュリティ」の実現に取り組む。「プロセッサのチップ上に保護されたユーザー情報や電子証明、コードなどを実装することで、あらゆるトランザクションを安全なものにしていく。情報を守り、個人や家族、組織を守ることが両社の使命」(バーニー氏)と述べている。

 同社が直近でリリースを予定する新製品群は、ブロイド氏が紹介した「Security Connected」をより具体化したものになるという。「今後の製品の一例では、IT管理者が許可しないようなアプリケーションの実行、GTIが提供する脅威などをネットワークとエンドポイントの対策機構が協調してブロックする。さまざまな対策を調和させていく」とした。

直近でリリースを予定する主な新製品と概要

 バーニー氏は、同社製品だけでなくサードパーティー製品を含めた統合型のセキュリティプラットフォームの実現に注力すると表明。「こうした包括的なアプローチができるのは当社だけだ」と協調した。

吉田和正氏

 基調講演の最後に登壇したインテルの吉田氏は、同社が製品戦略で重点とする「電力効率と性能」「ネットワークへの接続性」「セキュリティ」において、特にセキュリティが重要になるとし、「ハードウェア支援型セキュリティ」への取り組みを説明した。

 「IT管理者の57%がコンプライアンスに抵触するとしてクラウドの利用を断念したという調査結果もある。クラウドコンピューティングやモバイルデバイスの普及において安全性を確保していくことがインテルの役割」(吉田氏)

 既に両社による「ハードウェア支援型セキュリティ」ではOSの深部で行動するrootkit対策の「Deep Defender」を製品化しているほか、Intel SSDやインテルセキュリティIPなどの製品で具体化しつつある。吉田氏は、McAfeeとの協業を通じてより広範なソリューションを展開していくと語った。

「ハードウェア支援型セキュリティ」の狙い

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