産学連携でデータサイエンティスト育成を図る SAS

ビッグデータのアナリティクスに関する記者説明会をSAS Institute Japanが開催した。

» 2012年12月12日 19時05分 公開
[伏見学,ITmedia]

 SAS Institute Japanは12月12日、ビッグデータ分析に関する記者説明会を開催した。データ活用が注目を集める中、企業においては新たな課題も浮上している。同社マーケティング本部長の北川裕康氏は「特にデータサイエンティストのような人材育成がグローバル全体で喫緊の課題となっている」と強調した。

SAS Institute Japanでマーケティング本部長を務める北川裕康氏 SAS Institute Japanでマーケティング本部長を務める北川裕康氏

 北川氏は2012年を振り返り、「ビッグデータのアナリティクスに注目が集まった1年だった」と総括した。それに伴い、先進的なユーザー企業では、顧客自身が企業に提供したあらゆる情報のことを指す「カスタマーインテリジェンス」に対するIT投資が活発になりつつある。ただし、こうしたユーザーは限定的で、日本においてビッグデータ分析に取り組む企業はまだ少ないという。その理由について「ビッグデータ分析は人のスキルや組織および企業の文化に依存するため、すぐに実行するのは難しい」と北川氏は説明する。

 具体的な課題として、北川氏は「データ基盤」「データ活用の仕組み」「人材」の3点を挙げる。データ基盤については、多くの企業でデータ分析のための基盤整備が遅れており、必要な顧客データが不足しているなどの状況に陥っている。データ活用の仕組みに関しては、いまだ情報系システムの優先順位が高く、BIツールを導入している企業でもレポーティングやOLAP(オンライン分析処理)といった過去分析にとどまっているのが現状だという。

 人材については、データサイエンティストやアナリストといった高度な分析スキルとビジネス知識を持ち合わせた人材が全世界で不足しているという。ただし、日本はそうした人材を育成するための教育という観点で深刻な状況にある。北川氏によると、日本で統計学科のある教育機関は数理研究所の1つしかないが、中国では130以上、韓国では70以上、米国では主要大学のほぼすべてに存在するという。

「データサイエンティストには、ITとビジネスのスキルに加えて、数学やサイエンスの知識が求められる。長期的な視野に立った教育が必要であり、SASは産学連携することでデータサイエンティストやアナリストの育成に貢献していく」(北川氏)

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