顧客経験価値の向上、大多数の企業が具体的な施策はこれから

全世界で1300人以上の企業経営幹部を対象に、カスタマーエクスペリエンスに関する調査をOracleが実施。その調査結果を発表した。

» 2013年03月12日 17時25分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本オラクルは3月12日、カスタマーエクスペリエンス(顧客経験価値、以下CX)に関するグローバル調査報告書「Global Insights Succeeding in the Customer Experience Era」の日本語版を発表した。

 同調査は、2012年8月〜9月の期間で、北米、ヨーロッパ、日本、アジア太平洋、ラテンアメリカの18カ国で1342人の企業経営幹部を対象に実施。CXが財務に与える影響、CXを提供する上で企業が直面する課題、CX改善のための投資分野などを聞いた。日本企業は75社が回答した。

日本オラクル 製品事業統括 アプリケーション事業統括本部 CRM/HCM事業本部 本部長の道下和良氏 日本オラクル 製品事業統括 アプリケーション事業統括本部 CRM/HCM事業本部 本部長の道下和良氏

 CXの定義について、一般的には、品質や機能といった商品、サービスそのものの価値ではなく、購入したり使用する過程の経験から得られる価値とされる。これに加えて、「感覚的、感情的な価値を表すものだ」と日本オラクル 製品事業統括 アプリケーション事業統括本部 CRM/HCM事業本部 本部長の道下和良氏は、同日に開かれた記者説明会で説明した。

 今回発表された調査によると、CXの改善が今後2年間の最優先課題トップ3に入ると回答したのは全体の93%で、優れたCXを提供することが自社ビジネスの優位性と業績にとって重要だと答えたのは97%だった。その一方で、CXを提供できないことによる損失が年間売り上げの20%におよぶと推定している。

 CXに対する取り組みについて、明確に実施を始めたとする企業は37%で、自社の取り組みが先進的だと認識している企業は20%に過ぎなかった。

 また、優れたCXを提供するためにはソーシャルメディアを有効活用する必要があると考える企業は81%に上った一方で、実際に販売チャネルで使用するソーシャルメディアを持っていない企業が35%、カスタマーサービスで使用するソーシャルメディアがない企業も35%と、理想と現状にかい離が見られた。

 では、なぜ多くの企業がCXを提供できていないのか。調査結果では特にテクノロジー、人や組織・プロセス、投資の3点が障壁として挙げられた。中でもテクノロジーに関しては、「柔軟性のないテクノロジーおよびアプリケーションインフラによる制約」(29%)、「業績指標や顧客の意見を常に追跡するのが困難」(24%)、「すべての顧客接点を横断して統合された正確な360度顧客ビューがない」(23%)、「システムのサイロ化により、顧客接点を横断して情報を簡単に共有し、継続的なプロセスをサポートすることができない」(18%)が主な理由となった。

予定されているCX関連テクノロジーへの投資 予定されているCX関連テクノロジーへの投資

 こうした課題に対して、どのような改善活動が有効だろうか。自社のCXへの取り組みが先進的だと考える企業で成功しているプロジェクトとして、「従業員向けの研修プログラムとインセンティブ制度を構築」(35%)、「企業のコアバリューを再定義し、最も適切なCXを全顧客に提供するという必要性を追加」(32%)、「顧客サービス改善につながる特定のテクノロジーを導入」(29%)などがあるという。

 テクノロジーへの投資については、BIおよび顧客分析ソリューションやナレッジマネジメント、オンラインセルフサービス、モバイルアプリケーションなどを中心に、今後2年間で平均18%増加する見込みだということが全体の回答結果から明らかになった。

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