「ライバルはAmazon」とNTT Com有馬社長、企業向けクラウド事業を大幅拡充

NTTコミュニケーションズがクラウド事業を強化。サービスメニューの拡充やデータセンターの増設を通じ、2015年までにクラウド/データセンター事業を合わせて年間売り上げ2000億円を目指す。

» 2013年04月18日 20時07分 公開
[本宮学,ITmedia]

 NTTコミュニケーションズは4月18日、企業向けクラウド事業を強化すると発表した。クラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」の機能を拡充するほか、新たなデータセンターの建設も発表。2015年までにクラウド/データセンター事業を合わせて年間売り上げ2000億円を目指す。

photo 有馬彰社長

 Bizホスティング Enterprise Cloudは、仮想サーバやストレージなどのICTリソースを同社のデータセンターから提供するサービス。日本やアジア、欧米など7カ国9拠点のデータセンターをSDN(Software Defined Network)技術で接続しているため、グローバルで展開する複数拠点のネットワーク設定作業を簡素化できる特徴を持つ。

 今回、ストレージの処理能力を従来比3倍に高速化したオプションメニュー「Premium Plus」を提供するほか、仮想サーバ全体をバックアップする「イメージバックアップ」機能、Bizホスティング Enterprise Cloud上で使用するOracleとSQL Serverのデータベースライセンスを月額料金で提供する「データベースライセンス」、クラウド環境のセキュリティを強化する「ネットワークプロファイリング」および「リアルタイムマルウェア検知」を4月22日から提供する。

 また、年内にオーストラリアとドイツで新たなクラウド拠点を開設し、2013年末までに9カ国11カ所とする予定。これにより、競合のクラウド事業者である米Verizonや米Amazonに対して「クラウド拠点の展開数でも匹敵できる」(NTTコミュニケーションズの有馬彰社長)とみる。さらに今夏をめどに、仮想ネットワークを用いて企業内システムのIPアドレスを変えずにクラウド環境に移行する新サービスも提供予定という。

 「クラウド事業を行う上で、Amazonには追い付きたい。運営年数の違いから、機能面ではまだ追いつけていない部分があるかもしれないが、グローバルで展開する全拠点のネットワークにSDNを導入したクラウド事業者は世界初と自負している。ネットワークまでを仮想化したクラウドサービスという点で、他社との差別化を図っていく」(有馬社長)

photo Bizホスティング Enterprise Cloudのクラウド拠点

 併せて、Bizホスティング Enterprise Cloud以外のクラウド/データセンター事業も強化していく。同社はグローバルで138拠点・合計15.8万平方メートルのデータセンター拠点(2013年3月時点)を展開しているが、4月以降に新たに6つの拠点を追加し、144拠点・17.7万平方メートル以上とする予定。中でも、5月から運用予定の「香港 ファイナンシャルデータセンター」は延べ床面積9000平方メートルと、同社が運営するデータセンターとしては「海外最大規模」にもかかわらず、予約段階で既に「ほぼ完売」している状況という。

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 「2015年までにクラウド/データセンター事業を合わせて売り上げ2000億円以上を目指していく。既存顧客のクラウド移行にかかる時間も含めて試算すれば、この目標はかなりの確度で達成できるはずだ」と有馬社長は話している。

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