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» 2013年04月26日 08時00分 UPDATE

Maker's Voice:F1マシンの開発からポテチの製造現場まで、活用広がるHPCの世界

スパコンに代表されるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)は、これまで研究開発など一部の領域で利用されてきたが、ビッグデータ活用などから適用領域が広がっているという。

[國谷武史,ITmedia]

 スーパーコンピュータシステムに代表されるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)は、これまで生命科学や航空宇宙、エネルギー開発といった研究開発分野で主に用いられてきた。これが、最近のビッグデータ活用といった新たな用途にも活躍の場を広げる。

ibm0426.jpg 米IBMのピーター・ニコル氏

 米IBM システムズ&テクニカルグループ プラットフォームコンピューティング部門のジェネラルマネジャー、ピーター・ニコル氏は、「インフラのコモディティ化によって、企業が目的に応じたシステムを構築できるようになったことが大きい」と話す。

 IBMは、2011年にHPC分野向けのソフトウェア開発を手がけるPlatform Computingを買収。日本では2012年6月に、Platform Computingの技術をベースにしたソリューションの提供を本格的に始めた。ワークロード管理やクラスタ管理、MapReduceによる分析アプリケーションなどのソフトウェアを中核に、同社製のハードウェアを組み合わせて製品を提供するが、「ハードウェア環境はIBMに限定しない。他社のハードウェア環境でも最適な形で稼働させることができる」(ニコル氏)という。

 IBMのHPC製品は、上述の分野以外にも世界の大手銀行のリスク分析システムとしても多数採用されてきたという。ただそうしたケースを含めても特殊用途に限られていた。ニコル氏は、高性能のコンピューティングリソースを利用しやすくなったことや、ビッグデータのビジネス活用への関心の高まりが、HPCの新たな可能性を創出しているとみる。

 例えば、大手銀行などに限られていたリスク分析システムを、中堅の銀行や銀行以外の金融機関でも導入しやすくなった。また、オンラインゲームでのサービス提供基盤の管理にも活用できるという。ユニークなものでは、F1チームのRedBullが流体解析を用いたF1マシンの設計にIBMのシステムを利用している。

 「ポテトチップスを袋詰めする際に風を使うが、どのように送風すれば最も効率良く袋詰めできるのかといった研究にもHPCは使われる。もはや特殊用途では無く一般の人の日常生活に関わる存在だ」とニコル氏。もちろん、従来の用途でもHPCの利用シーンはこれまで以上に広がっている。

 なお、ビッグデータ活用などの領域に対してIBMは、垂直統合型システム「PureSystems」なども展開する。プラットフォームコンピューティング製品との一部重複も指摘されるが、ニコル氏はユーザーニーズに応じて多様な選択肢を提供するためと説明する。

 「HPC向けにPuresシリーズを活用するメリットは、既に最適化されているシステムをすぐに利用できることだ。プラットフォームコンピューティングは、異種混在によるHPCシステムを効率的に運用したいといったニーズに向いている」

 今後の国内市場では特に金融や製造、エレクトロニクス、生命科学、デジタルコンテンツ制作といった領域での利用拡大を見込む。「日本は成長戦略とともに非常に可能性を秘めたマーケットだ」と話している。

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