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» 2013年06月17日 07時45分 UPDATE

BYODを成功に導く5つのポイント

企業におけるモバイルデバイス活用が進む中、社員自身のスマートフォンなどを業務で利用する「BYOD」が注目を集めている。ガートナーの針生恵理シニアアナリストに企業が取り組む上での勘所を聞いた。

[伏見学,ITmedia]

 スマートフォンやタブレット端末などがコンシューマーの世界で普及する中、こうしたモバイルデバイスを企業で利用しようとする動きが徐々に広がりつつある。当初はプレゼンテーション資料やカタログなど紙ベースの営業ツールをデジタル化するような用途で活用されるケースが目立ったが、最近では小売店舗におけるレポーティングシステムや、銀行窓口での顧客サポートシステムなど、さまざまな業種、業務での活用が見られている。

ガートナー リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティの針生恵理シニアアナリスト ガートナー リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティの針生恵理シニアアナリスト

 モバイルデバイスの企業導入に際しては、業務部門や総務部門が中心になることが多いという。ガートナー リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティの針生恵理シニアアナリストによると、「PCはIT部門が主導で導入、管轄していたが、スマートフォンは電話の延長線上という考えが残っており、依然として総務部が導入を担当することが少なくない」という。さらには、業務部門とITベンダーが導入のためのコミュニケーションを直接とることもあるそうだ。

 そうした中にあって、IT部門に求められる役割とは何なのか。「モバイルデバイスがIT機器であることは間違いなく、ビジネス上で重要な情報を扱うことも多々ある。セキュリティ対策やデバイス管理が不可欠なのは言うまでもない」と針生氏は話す。また、業務部門とベンダーとが直接やり取りをするといっても、要件定義など細かな交渉までも業務部門が担当するというのは現実的でない。針生氏は「IT部門がアドバイザーとなって、両者の間に立つ必要があるだろう」と言う。

 加えて、何よりも重要なのは、自社におけるモバイルデバイスのあり方を考え、ビジネスにどう活用していくべきかをIT部門が積極的に提案していくことだとする。例えば、モバイルデバイスを業務に取り入れることで新たなワークスタイルを模索することも1つの方法だろう。「経営貢献できるようなブレインになるべき」と針生氏は力を込める。

なぜBYODが必要なのかを明確にする

 こうした中、企業におけるモバイルデバイスの活用手段として、注目を集めているのが、個々人のスマートフォンやタブレット端末を業務で使う「BYOD(Bring Your Own Device)」だ。本格的に取り組んでいる日本企業はまだ少数であるものの、特にコストの面からモバイルデバイスを全社員に支給できないような企業では期待感が高いという。

 ただし、やみくもに取り組んでもうまくはいかない。BYODを成功させるための条件とは何なのか。針生氏は主に5つのポイントを挙げる。1つ目は、決してBYODありきではないというのを認識することである。大前提として、「そもそもモバイルデバイスが業務に必要なのかどうかをしっかりと考えるべきで、その上で支給するのかBYODなのかを選ぶことが肝要である」と説明する。

 2つ目は、営業部門や経営層などBYODの対象となるユーザーを決めること、3つ目は、対象となる業務範囲を決めることである。たとえ個人のデバイスであっても、業務で利用する以上、サポートや管理は必要だ。そのためのシステム基盤も準備しなければならないため、ターゲットは明確にすべきであるという。

 4つ目は、社内調査やアンケートなどによって、社員が業務で既に自分自身のモバイルを使っているかどうかを実態把握し、現状を可視化することである。最後は、スモールスタートでBYODを進めることである。「いきなりすべてのデバイスOSに対応し、すべての社員を対象にするというのは難しい。まずは、デバイスを絞り込むなどして始めるべきだ」と針生氏は提案する。

 さらに留意する点として、BYODが必ずしもコスト削減にはつながらないことを針生氏は強調する。

 「確かにデバイスコストは削減できるが、企業でモバイル活用するためのシステムや体制を整えていなければ、管理ツールなどを新たに購入する必要がある。また、BYODのためのガイドライン策定やトレーニングなどに対する負担は少なくない。結果的に、初期コストが膨れ上がる可能性は十分にあるのだ」(針生氏)

 さらに、いつでもどこでもモバイルで仕事ができるがために就業規定を見直したり、通信費などの経費負担を社員個人か会社のどちらが行うのかを決めたりと、BYODのためのさまざまな環境整備が不可欠であるという。

 裏を返せば、一部の業務であれ既にモバイルデバイスを活用している企業にとっては、その経験が大いに生かされるため、次のステップアップとしてBYODに移行する際の障壁は、ゼロからのスタートと比べると大いに低くなるはずだろう。

 「BYODであれ、会社支給のモバイルデバイスであれ、最大の目標はユーザーの業務をいかに効率化するかどうかである。これができなければ意味がない。モバイルで個人の生産性が向上し、ワークスタイルを変革できるような取り組みを検討することが大切なのだ」(針生氏)

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