パブリックデータを活用した新たな街づくりクラウド ビフォア・アフター(2/3 ページ)

» 2013年08月28日 08時00分 公開
[林雅之,ITmedia]

パブリックデータ活用のための都市オペレーティングシステム

 都市部への人口集中が進み、地方においては生活圏を縮小させ規模の経済から街全体を最適化する都市空間のあり方が議論されている。 さらに、気候条件や地勢条件、人口分布、産業構造、交通システム、地域のニーズや制約要件など、社会における相互の関係性を最大限考慮し、時代の変化にあわせ、住民ニーズと利便性や安全性を高めた街全体の最適化の視点に立った都市設計が求められている。

 都市設計にあたっては、標準化された都市インフラの共通プラットフォームとなる「都市オペレーティングシステム:以下都市OS」を整備し、地域の特性に応じたさまざまなソフトやサービスを提供する。自治体や民間企業、住民がこれらを共同利用することで、街の機能の全体最適化を進め、住民の利便性向上や、産業や経済発展につなげていくことが期待されている。

 都市空間において、アプリケーションが密接に都市OS上で連携し、蓄積されたパブリックデータを分析・活用することで、新たな都市機能や都市サービスが享受できるようになるだろう。

 これらのデータを活用するためには、都市OSの共通プラットフォームとして統合のキーとなる、人にひもづけられるマイナンバー、企業にひもづけられる企業ID、さらには「もの」、「場所」、「時間」などの共通化された地域データをマネジメント、オープン化し、APIなどを通じて二次利用でき、地域の発展や競争力につながる独自のアプリケーションサービスとして展開できる仕組み作りが重要となっている。

 分野別のアプリケーションやサービスでは、防災、エネルギー、医療・教育、農業、交通などが想定される。これらのサービス創出のためには、地図データや住民データなどの基本となるデータは共通化する。例えば、千葉県流山市など一部の自治体では、防災に関してポーリングデータや自治体のハザードマップなど目的別にオープンデータをアドオンしていけるよう、効率的なオープンデータによる公開の仕組みづくりが進められている。

 さらに、地理情報システム(GIS:geographic information system)や衛星測位などを利用して、G空間(地理空間情報)のさまざまなパブリックデータと連携させた高度利用により、新産業・新サービスの創出や防災への活用など、政府が推進するG空間シティ(仮称)への期待も高まっている。

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