クラウド、M2M、セキュリティに注力する――Verizon上席副社長が会見

米Verizon Communicationsのジョン・ストラットン上席副社長が来日し、アジア太平洋地域における事業戦略などを説明した。

» 2013年09月17日 16時27分 公開
[國谷武史,ITmedia]
Verizon Communications シニアバイスプレジデントのジョン・ストラットン氏

 米通信大手Verizon Communicationsは9月17日、アジア太平洋地域の事業戦略に関するメディア向け説明会を都内で開催。同社シニアバイスプレジデント兼Verizon Enterprise Solutions社長のジョン・ストラットン氏が、日本やオーストラリア、インドなどのメディアの質疑に答えた。

 現在約150カ国で事業展開する同社は、6大陸を接続した約80万キロ以上のIPバックボーンを保有し、従来の音声通信からIPデータ通信サービスを基盤とするソリューション事業の展開に注力している。米国時間9月2日には英Vodafoneとの合弁会社Verizon Wirelessの株式を1300億ドルで取得し、完全子会社化する方針を発表した。ストラットン氏は、「エンタープライズ領域では有線・無線を統合するネットワーク基盤が実現する」と説明した。

 こうした強固なネットワーク基盤により、エンタープライズ事業ではクラウドコンピューティングやM2M(Machine to Machine)、セキュリティに関するソリューション展開に注力していくという。

 「企業顧客はグローバルで一元化され、強固なセキュリティが担保されたインフラを利用して、新たなビジネスを展開できるようになる。例えば、グローバルなコンタクトセンターへの広範かつ容易なアクセス性を確保すると同時に、CRMシステムと統合化された安全なシステムを実現する。企業顧客の経営層が求める迅速なビジネス展開を可能にしていける」(ストラットン氏)

 M2M事業では2012年に自動車や医療、スマートグリッド分野のテレマティクスサービス企業Hughes Telematicsを買収した。米国では自動車保険業界向けのソリューションとして、自動車に搭載されたセンサの情報を収集・分析し、ドライバーの運転操作の安全度に応じた保険料金を設定する方法の実証を進めている。

 「保険会社は、安全運転に努めるドライバーに保険料金を値下げするなどのインセンティブを提供できる。また10代の若者が運転する際に、緊急時を除いたスマートフォンの操作を無効にして安全運転に徹してもらうといったことも目指している」(同氏)とのこと。こうしたソリューションは、アジア市場では中国から提供していく計画だという。

 またストラットン氏は、10月上旬にもクラウドに関する新サービスを発表すると予告。「詳しくは明かせないが、さまざまクラウド環境を企業が柔軟に選択して、導入できるモジュラー型の仕組みを取り入れる。重要なデータを海外展開できない場合でも安全に海外から利用できるようにし、クラウドのセキュリティに対する懸念を払しょくする」と述べた。

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