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» 2013年10月30日 10時00分 UPDATE

ITmediaエンタープライズ勉強会レポート:ベンダーさん、SIerさんに聞きたい! 運用の自動化でどうなりますか?

運用業務をツールで自動化する「運用自動化」が注目され始めた。ミスを減らして品質向上が期待できるが、熟練ノウハウが生かせなくなる心配も……。そんな現場担当者の気になる点を、日立製作所とCTCグループの担当者にぶつけてみた。

[編集部,ITmedia]

 ITmediaエンタープライズ編集部は10月24日、「運用自動化」をテーマに読者を招いての勉強会をアイティメディアのオフィスで開催した。システム運用管理製品「JP1」を提供する日立製作所と、ユーザー企業への導入支援を手掛ける伊藤忠テクノソリューションズ、CTCシステムサービスの担当者によるパネルディスカッションでは運用自動化に対するユーザーの反応や適用効果などについてホンネの意見が交わされた。モデレータはアイティメディア ITインダストリー事業部 エンタープライズIT統括部長の石森将文氏。

「運用自動化」元年が来た?

 ITの運用業務をツールで自動化することにより、サービス品質の向上やコスト削減といった効果が期待される。しかし、ITの運用は熟練担当者のノウハウに支えられている部分も多く、単純に自動化できるというものでも無いだろう。果たして運用自動化の導入は現実的なのだろうか――。

mr_hirose.jpg 日立製作所 ソフトウェア本部 ITマネジメントソリューション開発部の広瀬正一氏

 日立は2012年に運用自動化をサポートする「JP1/Automatic Operation」をリリースした。同社ITマネジメントソリューション開発部の広瀬正一氏は、「元々は欧米が先行し、HPさんなどが製品を提供してきた経緯から日本でも必要性が提起され、『日立も出さないのか』というお問い合わせをいただいていた」と語る。

 SIerの立場でも数年前からユーザー企業に運用自動化を提案してきたが、この1年ほどでユーザーの意識に変化がみられているという。

「2012年下期から、『効果は?』『どうすればいいか?』という導入をイメージした相談や案件が増えている」(伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室の渥美秀彦氏)

「2012年まではこちらから紹介する程度だったが、2013年から風向きが変わり、ユーザーの間で認知されるようになったと感じる」(CTCシステムサービス 営業企画部長の楠川宜玄氏)

 3氏とも、運用自動化の波が着実に広がりつつことを感じているようだ。ただ、ツールを導入すれば良いというものでは無いのは当然だろう。石森氏の「こういうアプローチでは失敗するというケースはあるか?」との質問に、渥美氏と楠川氏は次のように答えた。

mr_atusmi.jpg 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 インフラソリューション技術第1部 ITシステムマネジメント技術課の渥美秀彦氏

「部門を跨ぐとうまくいかないことがある。企画担当と運用担当で求めるものが違うと失敗してしまいがちだ。何をどうすればどんな効果を得られるのかといった点を文書に落とし込むような形で、目標を共有するようにすべきだろう」(渥美氏)

「何ができるかだけなく、何ができないかも理解することも大事。その上でどの部分に自動化を適用するのか、その場合に担当者自身の業務内容がどう変わるかをきちんとイメージする。変更する部分と変更しない部分を見極め、業務フローを見直すべき」(楠川氏)

 また、運用自動化の目的をどこに置くかも大切だという。

mr_kusukawa.jpg CTCシステムサービス 営業開発本部 営業企画部の楠川宜玄氏

「ユーザーに提案する時は『○○削減』ということをうたっていない。それが目的ではなく、ビジネスに貢献することが重要だと思う。例えば、システムが大型化しても現行の体制のままで高いサービス品質を維持するといった具合だ」(広瀬氏)

「まず、自動化を取り入れてどのくらいミスが減ったのかというように現状を可視化する。運用業務が効率化されることで、その分のリソースをIT基盤の共通化といった新たな挑戦に振り向けることもできる。運用自動化は、IT部門が新しい変化へ柔軟に対応していくためのプラットフォームといえる」(渥美氏)

少人数なら運用自動化はいらない?

 パネルディスカッションでは3氏が来場者からの質問に答えた。

質問 自動化する部分と人手に任せる部分をどう切り分ければよいか?

楠川氏 自動化できる部分は導入する製品に依存するので一概には言えない。ただ、人が判断しなければならない部分はツールでは自動化できないところになる。ガバナンスを効かせるために、どこに人が関わるべきかが大切で、それから製品の機能で自動化できる点を検討するというアプローチが良いだろう。

渥美氏 担当者が普段行わない部分、言い換えると、年に1、2回しかしない業務は担当者が慣れていないのでヒューマンエラーが起きやすいだろう。この部分はむしろツールに任せることでミスが発生するリスクを回避できるのではないか。

広瀬氏 例えば、何十台ものサーバに毎回IDやパスワードを入力してログインするとことは、単純でありながら、担当者にはミスが許されないプレッシャーのかかる作業ではないか。そうした部分に自動化を適用してみることで効果が期待させる。

質問 少人数での運用なので、自動化ツールの導入そのものが負担だ。今のままでも良いという選択もあるのではないか?

広瀬氏 製品を導入しなくても現状のランニングコストは発生し続けるので、製品を導入する場合と導入しない場合のコストを、例えば5年間という尺度で検証してみてはいかがか。導入してコストが下がるのであれば、導入されることをお勧めする。

渥美氏 最近では3、4人で運用しているという企業からの問い合わせも増えているので、運用自動化に対する関心は企業規模にあまり関係ないと感じている。導入費用もかつては数千万〜数億円という規模だったが、今ではSIを含めても200万〜300万円ほどでできるケースも出てきた。少人数でも業務が複雑で数が多ければミスは増える。単純に導入コストだけでは判断できないと思う。


 運用自動化への期待が高まりつつある中、その導入や活用においては運用管理者が主役となり、これからのITオペレーションをどう形作っていくかを考慮することが大切であるようだ。運用自動化を成功に結び付ける秘訣について、楠川氏は「クラウドの到来でITサービスを必要な相手に払い出すという時代になった。まさしく運用が主役になる時代であり、ベンダーやSIerと一緒に取り組んでいただきたい」と話した。

 渥美氏も楠川氏と同様に、「ITの主役は運用にある。運用部門のプレゼンスが高まり、新たなチャンスが来ていると思う。運用部門がITをリードするように挑戦してはいかがだろうか」と語っている。

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