Windows 8.1

【新連載】去りゆくXPよ、君はどんな存在だったのかさよならWindows XP、そしてWindows 8.1へ(2/2 ページ)

» 2013年11月07日 08時00分 公開
[山本雅史,ITmedia]
前のページへ 1|2       

企業においてはWindows XPはどんな製品だったのか?

 実は、Winodws XP自体は2001年11月に発売された。Windows XPは、Windows NTカーネルを使用したWindows 2000の機能とWindows 95/98系列の機能を融合したOSだ。Windows XPにおいて、OSのカーネル自体が安定性や堅牢性を持つWindows NTカーネル系に移行された。

 Windows XPが発売された当初は、パフォーマンス面を含めてあまり性能の高いOSとは思われていなかった。しかし、Windows XPにおいて、さまざまなセキュリティホールが見つかり、実際に悪用されることが起こり、Microsoft自体がWindows XPを大幅にアップデートしたSP2(Service Pack 2)を2004年に提供することになった。

 Windows XP SP2は、SPという位置づけだったが、内部的にはWindows XPを大幅に書き換えるモノで、全く新しいOSといっていいほどだ。Microsoftの内部では、「Windows XP SP2をメジャーアップデートとして提供した方が儲かるのでは」といわれていた。しかし、当時の開発トップがきちんとしたOSをユーザーに無償で提供すべきという考えで、無償のSPとして提供されたという噂があるほどだ。

 Windows XP SP2は、セキュリティ面だけでなく、パフォーマンスを低下させていた様々な部分の改良を行ったりすることで、Windows XPの評判を一気に引き上げた。その後、2008年には、Windows XP SP3が提供された。Windows XP SP2は、PCのCPU性能、メモリ容量、ディスク容量などが飛躍的にアップする時期だったため、単にOSの改良だけでなく、PCの性能アップと相まってWindows XPの性能がアップしたのだろう。

 もう一つ大きいポイントは、Windows XPのメジャーアップデート版となるWindows Vista(2006年発売)の評判があまりにも悪かったことがある。

 Windows Vistaは、OSのメジャーアップデートに当たるため、OSのリビジョン番号のアップデートなど、OSカーネルの大幅な変更などにより、Windows XPのアプリケーションの多くが動作しなかったり、PCのハードウェア性能がOSを快適に動かすには不足していた。このため、多くの企業では、Windows XPからWindows Vistaへのアップデートを行わなかった。

 Microsoft自体もWindows Vistaが失敗したと感じたためか、通常メジャーアップデートに4年かける期間を3年に縮め2009年にはWindows 7をリリースした。

 Windows 7は、Windows Vistaの反省を踏まえて、アプリケーションの後方互換性を重要視したため、多くの企業で採用されたOSとなった。

Windows OSの歴史。個々のOSがリリースされた時期によって様々なミッションがあった(米国でのTechEd2013資料より)

IT環境が大きく変わったWindows 7のリリース時期

 実は、Windows 7のリリース時期2009年はIT環境が大きく変わり始めた時期だった。Amazon Web Service(AWS)などの登場によりクラウドへの注目が集まり、実際に利用され始めた時期だった。もう一つ大きな変化は、クライアント アプリケーションのプラットフォームとして、Windowsのネイティブ環境から、Webのブラウザをフロントエンドとしてクラウド(サーバ)と連携して動作するモノに変わってきた。クライアントPCにはWindows OSしか使えないと思われてきた環境が徐々に変化し始めた。

 こういったことにタイミングを合わせるように、携帯電話がスマートフォンに進化し、キーボードを登載したノートパソコンが、タッチファーストのタブレットへとデバイス自体も変化し始めてきた。

 さらに、携帯電話のネットワークが高速データ通信に対応することで、個人が持つスマートフォンやタブレットなどのデバイスをビジネスで利用するBYOD(Bring Your Own Device=私物デバイスのビジネス利用)というコンセプトも出てきた。こういった状況に対応するためにWindows 8は開発された。

 Windows 8は、OSのカーネル部分としては、Windows 7を順調に進化させたものだが、新しくタッチファーストUIに対応するための「Modern UI」が用意された。こういった意味では、Winodws 8は、Windows 7と同じデスクトップとModernの2つのフレームワークがサポートされたハイブリットOSといえるだろう。

 ただ、Windows 8は、あまりにもUIが変わったため、企業で積極採用されるとは行かなかった。このため、1年でWindows 8改良した、Windows 8.1を2013年にリリースすることになった。

企業にとってWindows XPから、どのOSに移行すべきか?

 企業において、製品サポートが終了するWindows XPからどのOSに移行すべきかは、大きな問題だ。単にクライアントPCのアップデートと考えれば、大きなUI変更がないWindows 7への切り替えが順当な答えとなる。

 しかし、クラウドの普及、スマートフォン、タブレットなどの新しいデバイスの普及、BYODといった新しい考え方の登場などを考えれば、順当にWindows 7へのアップデートだけが正解ではなくなっている。

 タッチファーストのタブレットを利用することを考えれば、Windows 8.1は検討に値するだろう。また、iPhone/iPad、Androidスマートフォンの普及を考えれば、既に企業で利用されるITデバイスはマルチ プラットフォーム化している。こういったことを前提として、バックエンドのシステムやデバイスを選択していく必要が出てきた。このようなIT環境の変化を考えれば、既にWindows XPをそのままにしておくという選択肢はないといえる。

 次回は、企業にとってWindows XPからの移行はWindows 7なのか、Windows 8.1なのか、それとも他の選択肢があるのかなどを詳細に解説していこう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ