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» 2013年11月18日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:ビッグデータ活用ソリューションの課題

国内大手ベンダーが相次いでビッグデータ活用ソリューションの強化策を打ち出した。まさにICTビジネスの本命ともいえる同ビジネスだが、一方で課題も見えてきた。

[松岡功,ITmedia]

NECが新ソリューションを展開

 NECが11月13日、ビッグデータ関連事業の強化策として、ビッグデータ活用に向けた技術・製品・サービスを「NEC Big Data Solutions」として体系化し、新たに4種類のソリューションを販売すると発表した。併せてNECグループの分析要員を増強するなど事業推進体制の強化も図った。

 NEC Big Data Solutionsは、同社のビッグデータ関連技術や100件以上の顧客実証に基づくノウハウ、製品・サービスを体系化したもので、市場ニーズの高い「オペレーション高度化/最適化」「情報管理の強化、犯罪・不正の検知」「製品/サービス価値向上・改善」「顧客獲得・維持、販売促進」の4領域において、ソリューションメニューを拡充しつつあるという。

 会見に臨むNECの清水隆明 取締役 執行役員常務兼CMO 会見に臨むNECの清水隆明 取締役 執行役員常務兼CMO

 今回、新たに販売開始した4種類のソリューションは、次のようなものだ。

 1つ目は「プラント故障予兆監視」。イレギュラーな動きを自動で発見できる「インバリアント分析」技術を用いて、各種センサーの情報を基に故障に至る前の設備の不健全な状況を把握するソリューションである。

 2つ目は「情報ガバナンス強化」。2つの文が同じ意味を含むかどうかを判定する「テキスト含意認識」技術などを活用し、文書全体の意味を理解しリスクなどを自動的にスコアリングするソリューションである。

 3つ目は「需要予測型自動発注」。大量のデータに混在する多数の規則性を自動で発見し、高精度の予測や異常検知が可能な「異種混合学習」技術を活用。売り上げや気象情報などの多様なデータを基に将来の需要を予測し、発注を自動化するソリューションである。

 4つ目は「人材マッチング」。非構造化データを含めた膨大な情報から高速に学習する「RAPID機械学習」技術を活用し、求職者と企業との業種・職種などの項目データや自己紹介文などを合わせて最適なマッチングを行うソリューションである。

 こうしたソリューションにおいて、NECが強みとしているのは、それぞれに適用している独自技術だ。同社の清水隆明 取締役 執行役員常務兼CMO(最高マーケティング責任者)によると、インバリアント分析と異種混合学習は世界初、テキスト含意認識とRAPID機械学習は世界的な研究機関などのコンテストでトップの評価を得た技術だという。

 これをして清水氏は、「NECは単なるソリューションプロバイダーにとどまるだけでなく、独自技術を駆使してさまざまな顧客ニーズに対応したビッグデータインテグレーターとしても事業領域を広げていきたい」としている。

懸念されるビッグデータのバブル崩壊

 ビッグデータ活用ソリューションについては、富士通も先頃、同様の強化策を打ち出している。同社の取り組みについては、11月5日掲載の本コラム「富士通が語るビッグデータ関連ビジネスの勘所」、および10月28日掲載の「富士通、10種のビッグデータ活用例をメニュー化」を参照いただきたい。

 富士通、NECといった大手ベンダーがビッグデータ活用ソリューションに一層注力し始めたことで、国内でもビッグデータ活用に向けた動きが活発化してくるかどうか注目されるところだ。

 が、最近のビッグデータ活用に向けた動きには、どうにも気になる点がある。それは、ベンダーにおいてはあたかも新たな金鉱を掘り当てたかのような目の色の変わりようであり、ユーザーにおいてはビッグデータを活用しないと生き残れないといった強迫観念のようなものを感じるからだ。要は、煽りすぎ、煽られすぎのような気がしてならない。

 ビッグデータ活用の動きに水を差すつもりはない。それどころか、ビッグデータをどう活用するかがICTに求められる最大の使命であり宿命だと、筆者は強く感じている。ただ、さまざまな製品・サービスやそれらをまとめたソリューションが登場してくる中で感じるのは、こんなことができそうだ、という話ばかりでユーザー視点でのコストパフォーマンスがさっぱり見えてこないことだ。

 最近のビッグデータ活用ソリューションに関する発表では、価格が話題にさえ上らないケースがほとんどだ。尋ねたとしても「顧客によって利用形態が異なるので個別見積もりになる」との答えが大半だ。確かにこれまでの製品・サービスと違って利用形態が多岐にわたるのは理解できるが、作り込むのではなくソリューションとして提供するならば、例示の形でも価格を明らかにすべきではないだろうか。

 自戒を込めてメディア側にも責任がある。ソリューションに関しては、せめてユーザーがコストパフォーマンスの感触をつかめるような情報を引き出す努力をすべきだと考える。こんなことができそうだ、という内容だけでは、ただの宣伝記事だと肝に銘じるべきである。

 ビッグデータの活用が今後、ビジネスのあらゆる局面に深く関係してくるのは必至だろう。それだけに、煽りすぎ、煽られすぎて、バブル崩壊のような事態にしてはいけない。そのためには、少なくともソリューションに関してはコストパフォーマンスの論議もしっかりとすべきだと考える。

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