世間から必要とされない“ガラパゴス社員”になっていないか?(2/3 ページ)

» 2013年11月20日 08時00分 公開
[中山マコト,ITmedia]

辞めさせてくれなくなったときが辞めどき

 さて、このYNさんの例。所詮他人事だと、あなたは笑って済ませることができるだろか。

 実は筆者の元にも、転職の相談者が多くやって来る。彼らに必ずぶつけるのが、「あなたが今辞表を出したら、会社は必死で止めますか? 上司ではなく、会社が止めますか?」という問いだ。あえて、「上司ではなく」と加えるのは、上司による慰留は、単に自分がしんどくなるからという理由かもしれないからだ。

 それに対し多くの場合、「恐らく強い慰留はされないと思う」と言う答えが返ってくる。それではダメなのだ。1つの企業で代わりのいる程度の実力では外界から求められるハズもない。そうではなく、「辞めさせてくれなくなったときが辞めどき」なのだ。

ガラパゴス社員になってはいないか?

 企業はローカルルールの巣窟だ。その会社の常識が、ほかの会社や社会ではまったくの非常識というケースは恐ろしいほど存在する。例えば、先述したサービス残業や、接待営業、そして根拠無き精神論。そう、企業のローカルルールの多くは、世の中では通用しないガラパゴスルール。そのルールの中でしか働けない、“ガラパゴスリーダー”率いる、“ガラパゴス部署”の“ガラパゴス社員”は勢い置いていかれるだけ。気付けば、自分だけが一切の変化を知らない島の住人だったという、ガラパゴスゾウガメ状態になる。

会社の役にだけ立つ社員はいらない

 そうしたガラパゴス社会にどっぷりと浸かると、会社と社会の関係がまったく見えないガラパゴス社員が量産される。本来、会社というのは社会の適正な縮図であるはず。まさに小さな社会=会社だ。だが、ガラパゴス社員は、会社の決めた極めて特殊なローカルルールの中だけで仕事をする。会社の都合にだけ合わせる社員。部署の都合にだけ合わせる社員。上司の都合にだけ合わせる社員。果ては、自分の都合だけを優先する社員。すべてガラパゴス発想だ。

 外界が見えていないのだから、ほんの数カ月で、世の中には通用しない“極端にピントのずれた社員”が出来上がるのだ。唯々諾々と上司の指示に従い、部署の規範に従う。それしか物差しを持たないからだ。結果、ガラパゴス社員同士で徒党を組むという、まさにテレビドラマ「半沢直樹」の大和田常務一派のような状態に陥ってしまう。思考停止どころかまさに進化拒否状態である。

リストラはガラパゴス部署を重点に襲う!

 「リストラをせざるを得ない!」――。そう考えたとき、企業は何に着手するか。それは、変化を拒否する社員や部署を切ることだ。古い体質を引きずり、旧態依然のやり方を続けている部署は、リストラの格好のターゲット。古い体質、古い手法にだけ拘泥する一部を切除することで、再生のシンボルとするのはよくあることだし、象徴的で分かりやすい。メインバンクの企業担当者も、まずはそれを推奨、奨励するだろう。そんなとき、真っ先にターゲットとなるのはガラパゴス部署。ガラパゴスリーダー率いるガラパゴス部署が救われる道はない。

 ガラパゴス社員の多くは、リストラにあい、転職活動をしようにも、うまくはいかない。そもそも、普通の企業とは価値感が合わない。少なくとも面接官の目にも、「何か新しいことをやってくれそうな存在」とは見えないはずだ。結果的にこれまでの3分の2、あるいは2分の1以下の収入条件で働かざるを得なくなる。

 いや、働き口があるだけ良いのかもしれない。多くは失業し、プチ起業をするか、あるいはフリーランスで生きていくしかなくなる。そこには辛い辛い日々が待ち受けているだけだ。何しろ、世の中と価値感がずれているのだから……。

 そんな中、ガラパゴス部署にいたにもかかわらず、条件の良い働き先がすぐに見つかる社員がいる。それがアドバンス(進歩)社員だ。ガラパゴスが閉ざされた島なら、ニューヨークやパリ、シリコンバレーなど、次々と新しい価値を発信し、取り入れる地域がある。それが“進歩型”のアドバンスシティーである。このアドバンス感覚が、これからの人材には不可欠なのだ。

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