阪大、スパコンの計算結果を可視化する大画面システム導入

HPCIでの計算結果を大画面に立体表示できるシステムを導入した。同システムのリソースは、画面表示だけなく一部をHPCIにも提供できる。

» 2014年06月02日 17時44分 公開
[ITmedia]

 大阪大学のサイバーメディアセンターとNEC、サイバネットシステムは6月2日、ハイパフォーマンスコンピューティングでの計算結果などを可視化・表示するシステムを導入したと発表した。

 このシステムは、「大型3Dタイルドディスプレイ」2式と「フレキシブルリソースプールシステム」で構成される。阪大は、理化学研究所のスーパーコンピュータシステム「京」を中核とするスーパーコンピュータのネットワーク「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)」に参画。大型3Dタイルドディスプレイなどを用いてHPCIでの大規模な計算結果をできるだけ損なうことなく可視化・共有化でき、研究成果への洞察を深めたり、科学技術の普及啓蒙などに貢献したりできるという。

 大型3Dタイルドディスプレイは、豊中キャンパスとうめきたに設置。豊中キャンパスのシステムは、フルHDの50インチプロジェクションモジュールを24台用いた横6.5×縦2.4メートルのディスプレイとなり、5000万画像による超高精細の3次元画像を表示できる。うめきたのシステムは、1366×768画素の46インチ液晶モニタ15台を円筒形に配置したものとなっている。

大型3Dタイルドディスプレイ(左は豊中キャンパス)

 計算結果の表示には、シミュレーションを可視化する「AVS/Express MPE」や複数の3Dアプリケーションをリアルタイムに一つの3次元空間として表示する「FusionVR」、3Dコンピュータグラフィックスを立体映像に変換する「VR4MAX」などを採用した。

 フレキシブルリソースプールシステムは、64台のサーバによる「CPUリソースプール」と、48台のGPUや12台のストレージ(合計約400テラバイト)、4台の高速ストレージなどによる「I/Oリソースプール」を備える。ネットワークにExpEther技術を用い、6台のラックに分散配置している。ソフトウェアでハードウェア構成を変更できるのが特徴で、用途に応じて大型3Dタイルドディスプレイへの投影に必要な処理やHPCIへのリソースの提供を柔軟に行えるとしている。

フレキシブルリソースプールシステムのイメージ

 阪大では新システムを可視化技術や可視化技法に関する講習会やコンサルテーションなどの様々な可視化サービスを展開するほか、同時に整備された名古屋大学や東北大学の可視化システムとも接続して、新しいスタイルの共同研究を推進していくという。

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