なぜおいしい? 「ゆめぴりか」 農作物の“安心の保証”に貢献する新ITシステムとは(1/2 ページ)

北海道米「ゆめぴりか」がおいしいと話題だ。それは、農作物には安全と安心の保証が欠かせないとする生産農家と協同組合組織があるからかもしれない。農作物の安心の保証のため、たいせつ農業協同組合がタブレットを軸にした新システムを導入した。その効果とは。

» 2014年11月20日 08時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

 最近、北海道米の新品種「ゆめぴりか」がおいしい──という評価をよく聞く。

 このゆめぴりか、ななつぼし、JAたいせつ米といったお米をはじめ、さまざまな農作物を全国に出荷する協同組合組織が、北海道・上川地方のたいせつ農業協同組合(JAたいせつ)だ。上川地方は北海道の3大米生産地の1つとして知られ、JAたいせつは水稲生産農家340戸、水稲作付面積約3500ヘクタール(3500町)におよぶ道内有数の規模をカバーする。

photo たいせつ農業協同組合(JAたいせつ)のWebサイト
photo 生産力・商品性・販売力で道内最高ランクを獲得したという「JAたいせつ米」(出典:JAたいせつ)

経緯と課題:これまでの管理体制では、多忙な生産農家に手間をかけてしまう

 JAたいせつは、かねてより「農作物が全国の消費者から選ばれる商品であるため、安全と安心の保証が欠かせない」との考えから、生産農家による日々の生産日誌の記帳とJAによるその回収、情報開示を行う「生産履歴記帳」、農業生産工程管理(GAP:Good Agricultural Practice)の実施、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を活用した農用地情報の管理を行ってきた。

 ただ、手書きで手間がかかる部分も多かった。生産履歴の記帳や農業生産工程管理の登録は、OCRシートを印刷した書類へ手書きで記入し、OCR(光学式読み取り装置)で電子化する手段としていた。生産履歴への記帳は、生産農家自身に細かな書類を手書きで記入してもらう必要があり、収穫の多忙な時期に作業を強いてしまう点を課題としていた。

 具体的には、作業月日、別表コードを参照して資材・薬剤を記入、商品名──などを年2回、品種別・栽培区分別に平均A4版7〜8ページ分記入する作業となる。生産農家、そしてJA職員も作成にかなり手間をかけていた。この労力の低減をふまえた課題解決のため、3年前(2011年)より新システムを構想をはじめた。

 (※初出時、地名表記に誤記がありました。お詫びして訂正いたします)

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