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» 2015年01月13日 08時00分 UPDATE

2015年 新春インタビュー特集:顧客視点に徹してグローバル化と変革を支援する――SAPジャパン・福田社長

2014年7月に30代の若さで代表取締役社長に就任した福田譲氏は、テクノロジーを活用してグローバル展開を本格化させる意欲的な日本企業の支援に注力すると語る。

[國谷武史,ITmedia]
福田氏 SAPジャパン 代表取締役社長の福田譲氏

―― 2014年のエンタープライズIT市場での特徴的な動向とSAPジャパンのビジネスについて、どう感じていますか。

福田 3つあります。1つは基幹業務システムでのクラウド採用が本格化したこと、2つ目はインメモリ技術「SAP HANA」の採用の拡大、3つ目は“プロのCIO”の活躍ですね。

 企業のクラウド導入は、今までフロント業務など情報系システムが主流でした。少し前まで基幹系への導入にはこの先何年もかかると言われてきましたが、昨年はこれが本格的になっています。中堅・中小企業では当社のSaaSが好調ですが、大企業向けERPをパートナーであるAWSのクラウド上で本番環境を稼働させる事例が相次いでいます。昨年4月には東京と大阪にデータセンターを開設しましたが、こちらの環境を活用したいと声も多くいただいています。

 SAP HANAについても、かつてはOLTP(オンライントランザクション処理)などの領域にインメモリ技術は向かないという意見が聞かれましたが、昨年はSAP ERP導入企業の71%がSAP HANAを採用しており、ここ2年ほどで20%近く増えました。インメモリ技術を活用することで、例えばOLTPでは難しかった取引でのリアルタイムな不正検知が可能になるなど、基幹システムのベースになっています。OLTP、バッチ処理、リアルタイム分析といった個別のシステムをインメモリで統合し、シンプルなシングルプラットフォームを構築する動きも出ています。

 3つの目の“プロのCIO”とは、グローバル企業での豊富な経験を持ち、攻守のIT活用に長け、行動力を持ち合わせた人材です。こうしたコンピテンシーを有する日本人CIOを積極的に採用し、ITを経営の武器にしてグローバル市場を勝ち抜くという明確な目的を掲げる日本企業が増えました。スポーツの世界で勝つには、国内と世界では戦い方が違うように、経営者もITを活用して世界で勝つためにはグローバル市場での経験が不可欠だと考えるようになってきました。

―― 社長就任の前後でビジネスの取り組み方などに変化はありますか。

福田 まず安斎前社長の時代から大切にしてきた「徹底して顧客の視点に立つ」ということは、これからも変わりません。得てしてベンダーは、強みのあるテクノロジーや製品の話を顧客にしてしまいがちですが、顧客の抱える課題に応えるにはどうするかを考え、解決につながる提案をしなければなりません。私自身、安斎前社長からこの点を学んできました。

福田氏

 その上でSAPというグローバル企業の強みをもっと発揮していきたいと考えています。顧客が当社にもとめるものもグローバルでの知見や経験だからです。そのために、海外で業界や業種ごとに豊富な経験を持つ人材を日本に呼び寄せ、その知見や経験を日本の顧客に提供できる体制作りを進めています。同時にSAPジャパンの社員を海外に送り出してグローバルの経験や知見が得られる機会を増やしています。

 国内の自動車業界ではグローバル展開がより本格的になりつつありますし、海外では既に自由化が当たり前の電力業界も国内ではこれから自由化を迎えます。海外の経験を取り入れながら日本の強みをさらに発揮していける“グローカル(グローバルとローカル)”の実現を支援したいと思います。

 そのためにSAP自身の強みは何かと、常にそのことを見直しながら、将来の目標と現実のギャップを埋めていくよう取り組んできました。1月1日付で前プライスウォーターハウスクーパース会長の内田がSAPジャパン会長に就任しましたが、その理由はSAPジャパンが顧客のための提案を実践できるようになるためです。IT用語やカタカナ言葉だらけで顧客と話をしてはいけません。顧客視点に徹底してきた内田の経験を生かしていきます。

―― 2015年の展望をお聞かせください。

福田 グローバル市場で勝ち抜こうとする企業を中心に、ITへの投資は引き続き伸びていくと思います。2014年に基幹系でのクラウド採用が本格化したとお話しましたが、もちろんオンプレミスも引き続き利用されますし、クラウドと組み合わせながらの利用が進んでいくでしょう。20年先を見据えたITの方向性を考える良い機会に差し掛かっているのではないでしょうか。

 企業の経営戦略にとってもITの重要性はますます高まります。収益拡大を考えた場合、新工場を建設するか、ITに投資すべきか、といったように、ITが経営にもたらす価値が高まっているわけですSAPとしても、2014年12月にConcurの買収が完了したことでSaaSではフロント業務向けにソリューションが一通り揃いましたし、オンプレミスとクラウドを組み合わせたソリューションも展開しています。

 経営に貢献するITのさらなる活用を顧客と一緒に考えていきたいですね。

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