姿がみえてきたWindows 10の新機能Enterprise IT Kaleidoscope

Microsoftの次期OS「Windows 10」の新たな発表が行われ、その全容がだいぶ見えるようになってきた。新OSのコンセプトや新機能を概観してみたい。

» 2015年01月22日 10時15分 公開
[山本雅史ITmedia]

 Microsoftが1月21日(米国時間)、Windows 10に関する新たな発表をした。Windows 10はPC版、タブレット版、Windows Phone(携帯)が融合され、一つのOSとして提供されるようになる。これによって、Windows PhoneやWindows RTは、PC版のWindows OSのサブセットではなく、全ての機能を持つOSに変わる。異なるのは、スクリーンサイズだけだ。Windows 7/Windows8.1/Windows Phone 8.1のユーザーに対しては、Windows 10のリリースから1年間は無償でアップグレードができる。

Windows 10では各種設定を行うAction Centerが追加された

 Windows 10の新機能としては、Windows Phone 8.1で提供されていた音声認識/会話アシスタントのCortana(コルタナ)が登載された。Cortanaは、単なる音声認識システムではなく、音声を認識して、ユーザーがリクエストする操作を行うモノだ。2000年代にAppleやMicrosoftが目指した「Personal Digital Assistant」(電子秘書/デジタルアシスタント)が実現されたモノだ。

Cortanaは、PC版のWindows、タブレット、Windows Phoneなど、新しいWindows 10にデフォルトで搭載される

 Cortanaは、ユーザーの自然な会話を認識して、そこからユーザーがリクエストする操作を行う。例えば、電子メールでAさんへメールを送る時、Windowsコマンド名を上げるのでは無く、Aさんのメールを送信、メールの本文は「今度のミーティングはいつにする?」などをCortanaとの会話の中で自然に行える。この他にもユーザーが持つローカルのデータ(電子メールの情報、アドレス帳、ファイル)だけでなく、OneDrive上の個人データにもアクセスすることで、様々な操作を会話から簡単に行うことができるようになる。

 また、Windows 10には「Project Spartan」(スパルタン)という新しいWebブラウザが登載される。Windowsに標準搭載されていたInternet Explorer(IE)がSpartanに変更されるのではなく、もう一つの別ブラウザとしてWindows 10に登載されるようだ。Spartanは、FirefoxやChromeなどに対抗するために、Web標準規格をサポートし、コンパクトで軽量なWebブラウザを目指して開発されている。

新ブラウザ「Spartan」(スパルタン)のUI。シンプルで、FirefoxやChromeに似ている。スクリーンサイズの異なるPC、タブレット、スマートフォンでも利用しやすくなる

 またSpartanは、Cortanaとも統合されるため、ユーザーの個人ストレージにあるデータを使って、適切に検索できる。プレス向けイベントで披露されたデモでは、飛行機に乗っている家族を迎えに行くというシーンで、「飛行機はどの便か」「家から飛行場までの道路の混雑状況がどのようになっているのか?」などを電子メールのやりとりからCortanaが読み取り、各種のWebサイトにアクセスして飛行機の運航状況や道路の混雑状況を認識し、いつ、どのルートを通って車で迎えに行けばいいのかなどをアシストしてくれる。もちろん、Bingマップを使ってカーナビのようにナビゲーションしてくれる。

 今回のプレスイベントで最も大きなトピックとしては、Windows HolographicとデバイスのMicrosoft Hololensだった。

 VRヘッドセットなどは、CGで作られた3D空間をユーザー自身が体験することができる。しかし、Windows Holographicではシースルーのレンズを通して、現実空間とWindowsのスクリーンがオブジェクトとして配置されるようになっている。これは、Google Glassのようにデバイスのスクリーンを単にシースルーのレンズに表示するということではなく、現実空間と仮想空間を相互にインターラクションできるようにしている。

 例えば、家庭の冷蔵庫にWindowsのアプリケーションを貼り付けたり、3D CADのアプリケーションと3Dプリンタで出力したフィギュアをオーバーラップして表示したりすることができる。

ビジネスでは、現実のバイクにCADで作られた情報をオーバーラップできるため、全く新たなサービスができるかもしれない

 このようなことを行うために、Windows 10では新たに、Windows Holographic フレームワークとAPIが登載されている。また、実際にHolographic Computingの世界を試せるようMicrosoft自身がシースルーのレンズを登載したMicrosoft Hololensというヘッドセットを提供する予定だ。

Microsoft HoloLensとWindows Holographicを利用すれば、現実空間にアプリを表示することもできる

 Windows HolographicやMicrosoft Hololensに関しては、今後の10年をリードするために開発が行われているのだろう。このあたりは、すぐに普及するとは思えないが、新しいビジネスやアプリケーションが登場する可能性も高い。

 新しいWindows 10のプレビュー版は、来週にはダウンロードできる予定だ(2月1日に開催されるアメリカンフットボールのスーパーボールまでにはダウンロードができるようになる)。今回は35カ国語版が提供されることになっている。また、Windows PhoneのWindows 10に関しては、Windows Phone Insider(Winodws Phoneの新OSプレビュープログラム)に登録したユーザーに2月中から提供される予定である。

84インチのディスプレイにPCの機能を搭載し、タッチセンサーを入れたデジタルホワイトボードともいえるSurface Hub。これが会議室にあれば、Skype Businessを使えば簡単にテレビ会議もできる

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